上野によくいるんです。アメ横はわりとその雰囲気が好きで用事もないのにぶらぶらと歩きます。とはいえ昨今、ちょっとはばかられるねえ。
カレーですよ。
なかなか難しいアメ横界隈。賑わいを取り戻し、飲食に人が戻るのは本当に嬉しいんです。ただね、以前と同じような気分で戻るというのはない。お店があんなに涙ぐましい努力をして感染症対策に奔走しているのにお客がそれをぶち壊すようなシーンを度々みています。あれはいけない。マスクを外さなくちゃ食事はできないけれど、食事を口元に運ぶ間だけ黙っていれば事はすみます。
モグモグやりながらまたマスクをつけて、それからおしゃべりの続きをすればいい。それだけでずいぶん安全の度合いは上がります。決まり事ではなくて自分の、ひとりひとりの意識の問題だと考えます。
そんなこんなでお腹は空いていますが、おっかない、マスク外して酒を飲んで大声でしゃべりまくりの場所はパスしてそっとやっている定食屋さんへ。
「キッチン台栄」
は御徒町と上野のまんなかくらい、線路沿いの角にある、ちょっと雰囲気のある食堂です。
カウンターだけの、いわゆる南海スタイルのお店で気に入っているんだよね。親父さんが感じが良くて、ついついおしゃべりに乗ってしまうんですが、そういう時もマスクを忘れません。
そんな感じの気さくな感じでリラックスできるお店が、上野のガードの脇にあの風情で存続しているということがとても大事なんです。
今日はちょいとフライング。うっかり夕方の準備中の看板を見逃して入ってしまったんですが、快くメシを食わせてくれました。ありがとう。かたじけない。大変にしあわせです。
頼んだのはそとの黒板に書かれていた、
「豚肉カレー味炒め」
です。この日はこれ一択。カレーライスじゃなく定食の気分でした。定食でもカレー味があるの、大事。
親父さんがニュースを見ながら鍋を振り、喋りかけてきます。ちょいと耳の調子が悪いわたしはマスクでさらに聞こえづらくて恐縮しながらも耳に手を当てて頷いたり返事をしたり。ちょっと楽しいです。
さて、早めの夕飯がやってきたよ。
シンプルそのものの豚肉カレー味炒め。
作ってくれている手元を見るともなく見ていたら、親父さんがカレー粉をけっこうな量入れるので、なんとなくそのイメージで予想をしながら口に運びます。うん、これこれ。予想通りの風味で、でも予想よりももう少し旨い。
うん、それがいい。それくらいがいいんだよ。旨いなあ。
別皿でもやしナムル、卵焼き、メンマという付け合わせもなんかいい感じだね。おかず感があるの、嬉しいです。
こういうのでいい。食堂でこういうのがいいの。いいんです。
お尻が落ち着くなあ。