ある日荷物が届きました。わたしのところには自分で買ったAmazonの荷物以外に予想外の荷物が届くことが多いんです。いや、予想外はウソ。だいたいカレー(笑)
予想しないカレーがよく届くのです。
カレーですよ。
メーカーさんのご好意やレビュー案件で代理店からなど色々なパターンがあるんですが、わりと突然届いたりします。びっくりしたりうれしかったり。いつも楽しい気分になります。今日もさっき一つ、メーカーさんから箱が届きました。
今日は心から驚いたんですよね。送り主は予想だにしない中野の
「トリコカレー」
の佐藤店主。佐藤さんがレトルトカレーを送ってくれたんです。
メッセンジャーでいろいろうかがったら「どうしてもレトルト作りたいという想いがあって無理矢理作ったんです。コロナと闘う九大医学部OBの皆さんに送ってあげたくて!」と。
うん!!なんとも熱い想いがこもるカレーなんだよこれ。そう、トリコカレーはもともとは福岡、九大医学部そばにあったおみせなんです。
お医者さんになった当時の常連さんたちがいまでも東京出張の時に寄ってくれると聴いています。
そういうの、いいねえ。そういう価値のあるお店なのです、トリコカレーは。
トリコカレー佐藤店主とはスパイスメーカー勤務の田中さんと3人で企業給食用ルウを開発したことがあるんですよ。難しい仕事でありましたが形になり、全国の企業の社員食堂で多くのかたにトリコカレーの味を楽しんでもらえました。2トンほどの製造になったと聞いています。
わたしが紹介する美味しい名店の、という導入でやっていて、わたしの名前も大きくフィーチャーしてもらいました。某有名大手建機メーカーさまに協力いただいて社員食堂で試食をしたのも懐かしい。手応えある良い仕事でした。
その時にも一般流通など考えたのですが実現できなかったんです。レトルトの話も出たのですが同様で。それだけに驚きは大きかったのです。ご自分だけで完成に漕ぎつけたんだ。すごい事だよそれは。
食べてみると旨い。濃い。うーん、いいなあ。やっぱりこの味、この香りです。オレガノなどドライスパイスの中でもハーブ寄りの青々しいフレッシュな感じの香りが前に出ます。そしてひとくちスプーンを運べばやってくるガツンと強い旨味と濃厚な舌触り、粘度。変な風にツルツルさせない、舌触りにほんの少しざらりとしたところ感じるこれ。これぞトリコカレーです。間違いなく佐藤さんのカレーだと舌が判断します。どうやらお肉は挽肉が入っている様子でこれもいいね。
実は、というか当たり前ですけどお店のカレーとは少し違いました。印象が少し穏やかというか、トマト寄りでマイルドに仕上がっている感あるんです。粘度も若干抑え気味かな。が、しかし食べると間違いなく佐藤店主と顔が浮かぶ、まごうことなきトリコカレー。いやいやまちがいなく。
お店でもらえる例のカレーソースを希釈する鶏スープはおうちでは望めないわけで、そのためお店のものよりも粘度を抑えてある感がありました。実は佐藤店主にちょっとメッセンジャーで聞いてみたらやはりスープ割なしを想定した調整の様子。さすがだわ。
そしてトリコカレーと聞けばそれでもやりたい濃度の調整。鶏スープの代わりにと自分でアイディアを捻ってみました。トマト、完熟のドロドロになる一歩手前の美味しいやつがちょうど冷蔵庫にあったので、どうかな?と試しました。あ、かなり相性がいいぞ。とてもおいしい。
それと写真の白いもの。パニール(インドのカッテージチーズ。インドのカレーによく入っている)じゃないよ。木綿豆腐。これまたいいね。穏やかな味になっていい感じです。
どちらも上手にバランスしてくれるのに驚かされます。
そうか、そうだった、忘れてた。トリコカレーはそういうすごいカレーなんだった。
どんなトッピングを合わせてもどんな具材が入っても、どこまで行ってもトリコカレーはトリコカレーなのだった。そうだ、絶対に揺るがないその懐の広さと深さを忘れていたよ。アレンジ万能、しかしその背骨は曲がることがない。これ、これ。これがトリコカレーだよ。
これぞカレーライスという味なのにちゃんとトリコカレーとしてのアイデンティティを併せ持つ、強さ。記憶に強く残る、印象深くてクセになるカレーなんです。
一回分の製造を終えて、九大医学部に送ってあげてあと送らなくちゃいけないところにだしてあげて、それで残った分を通販ということにしたらさっさと売り切れてしまったそうです。さもありなん。
そんな貴重なものを佐藤さんが送ってくださった、ありがたい。
それでね、2回目は作らないつもりだったみたいなんだけど、とある方から同じように医療関係で頑張っている方にわたしからも送りたいのだが、と、そういう想いこもる連絡をくださるひとがいたそうなんです。2ロット目、作ることに決めたそうです。応援せずにはいられません。わたしたちにも購入チャンスが巡ってきました。そういう注文や医療関係の皆さんの分を差し引いて、それ以外の少し残ってる分をお裾分けいただく感じ。うれしいね。
自分が大変な時こそもっと大変な人のことを気遣う。こういうことができる人が道を切り開いてくれるのです。わたしも佐藤さんに想いを託してお手伝いできればと思っています。