いや〜驚きの実力派。ノーマークでありました。こりゃあいけません。うっかり神田小川町にこんなにいいお店ができてました。
カレーですよ。
その日はラジオ収録。無事に収録と撤収を終えて神田岩本町、デジタルキッチンを後にゲストといっしょに夕ごはんを食べに行くことになりました。
ゲストに来てくれたのは、激辛料理のスペシャリスト、姫さんこと金成姫さん。彼女が選んでくれたお店が駿河台下のちょい手前、靖国通りから1本入った裏にあるインド・ネパール料理のレストラン、
「グレビー」
なんですよ。あ、あなたが思っている「インネパ」では、まったくないんです。いや、わたしも驚いたんです。
まず店頭で見たメニュー、これだけで、あ、このお店違うとわかります。きちんとインド料理とネパール料理を分けて書いてあるんですね。そういう認識があるのがわかり、俄然楽しみになるわけです。お店は洒落た感じで西洋料理のお店でも通用する感じのモダンな店内。うん、デートに使えるね、ここは。
かわいく書かれた壁の料理の絵は、上はダールバート、下はターリとちゃんとインドとネパールを分けて書いてあるんです。これは、あれかな。日本人のプロデューサーがいるのかな。それとも日本が長い老練なオーナーがいるとか。こういう区分けを明確に打ち出すお店は未だ少ないと感じます。いやしかしこういう部分だけでもお店のやる気や実力が見えてくるねえ。
店内、民族風な感じにはしておらず、スマートで、女性が使いやすいお店。女性に受けるお店というのは一つの基準であると考えています。
「ヴェジタブルダルバート」
を注文しました。いやこれが素晴らしかった。
まずはその美しいスタイリング。ステンのターリに乗るのは定石ですが足のついた器にメインとなる汁物(カレー)が入るのは面白いですね。特別感があります。その器で盛り付けると高低差をつけられて変化が出ていいんですよ。和食などでも盛り付け、「山にしろ」と親方から教わった記憶もあります。
カトリもコッパーカラーと打ちあと美しい重厚なものを使っています。美しく統一感ある盛り付けがなされるのに感激しました。
シェフの美学がきちんとあることがわかるなあ。
味も大変よかったんです。
素材の味がきちんと出る穏やかな調味とスパイス使いに感心させられました。ダールがカレーではなく、ちゃんと豆の煮込みスープになっているのも特筆したいですね。いちいち頷けます。
カトリに入ったシークケバブ風はこのセット、ヴェジタブルダルバートですから当然ベジミート。食感よく大変に美味しい。見た目よりも穏やかな味にマリネされて、他の料理とのバランスを崩さないのが素晴らしいものでした。
別で頼んだホットチキンも非常に仕上がりレベルが高いと感じます。ムネではなくモモを使ったタンドール料理で驚くほどふわりと優しい食感に仕上がっています。
辛さも適切で、同行のコケティッシュな容貌に似合わぬ激辛女王の名を恣(ほしいまま)にする姫さんには少々不足気味であったかもしれないですけど、わたし的には旨辛、おだや辛で大満足。おいしい、おいしいなあこれは。
食事の後のチャイまできちんと美味しく、実力高いお店だと認識しまた。
食事の途中、シェフが出てきてくださって料理のことを教えてくれました。姫さんは激辛が選べるターリ、わたしはダルバートでしたが、それを指差しながら「スパイスで香りを特徴にするインドのスタイル、素材の味や香りを生かすスパイス控えめなネパールのスタイル」と美しい日本語で明確に説明をくれるんです。いやこれには感激したよ!
シェフ、聞けば日本で15年、銀座のナタラジにもいたことがあるといいます。
ああ、なるほど全部納得いったよ。あのベジミート使いやダールのセンス。ああ、ああなるほど!これはもう脱帽ものですよ。
おしゃれな雰囲気で甘く見てはいけないお店。
本物の実力店がまたも神田に根を下ろしたようです。