ご存知、元祖カレー研究家にしてあの横濱カレーミュージアム初代館長、小野員裕さんが直々に送ってくださったありがたくも貴重なレトルトカレーがあります。小野さん自身が開発に携わったものなんです。
カレーですよ。
その時点でもう期待が持てるというものです。うん、安心感。なにしろあの時代、まだまだレトルトの地位が低く見られ、技術的にも難しかった時代。ヤマモリと中村屋だけに頼っていたあのころに「鳥肌の立つカレー」シリーズを世に送り出してしまった人なのだからね。「鳥肌の立つカレー」、20年もそのままの形で販売されてるんだぜ。とんでもないことです、これは。
今回のカレーは、
「アートスナック番狂わせ」
という名前の、どうやらギャラリーカフェ、というかギャラリーバーという風情のお店のカレーをレトルトにしたものです。四谷荒木町にあるそうで、小野さんのブログなど読んではちょいと気になっていたお店なんだよね。ご縁でそこの看板を掲げるレトルトカレーの開発を手伝ったのだそう。
さて、カレーは驚き、
「ポークビンダルーカレー」
です。
インド、ゴアの新めの郷土料理で日本では都市部で少し前にちょっぴり流行った酸っぱいあれです。パッケージに倣った盛り付けをして、さて、と、食べてみます。
ひと口目の印象は酸味を感じさせる香りの強さとそれに重なるトマトの風味。トマトの味からだけではないんですが、ビネガーの使い方によってトマトが昔のトマトの酸っぱさ強めであった頃の雰囲気やチカラを取り戻している感があり、とてもおもしろいんだよ。このカレーの個性、良さにつながっていると感じます。
酢を舐めたときの少しえぐみ残る感じ、あれがほんのりのっかっていて、そのことが良い感じで作用しているのがおもしろいんです。楽しく記憶に残る味になっていました。
この味は食べたことのない特徴強い味で、食べていていちいち新鮮でとても楽しいです。
辛さも後からどんどん追いかけてくる方向の辛さで舌の感覚よりも多く汗をかかさされのが心地よいね。パッケージ通りに目玉焼きを乗せたんですが、それ、抜群に合う。いいね、必ずのっけたい。
知っているインド、ゴアのスタイルのものとはちょっと違うニュアンスが嬉しい、個性あふれるレトルトカレーです。
ポークビンダルー云々ではなく、オリジナリティを強く持つこの味に着地させるセンスに脱帽なわけです。
唯一無二の味だねえ、これは。