帰ってきたよ。いやなんかお早いおかえりで。ありがたいです本当に。
カレーですよ。
帰ってきた、とくればウルトラマン。ウルトラマン、ウルトラセブンの次に放送された「帰ってきたウルトラマン」というタイトル。今聴いてもなかなか洒落てるなあと思うんですが、主人公が、設定の細かいところがまだ体系化されていなかったため、当時劇中での呼び名は「ウルトラマン」なんですよ。で、外野からは新マンとか帰りマンとか言われてなんかちょっと難しい立場。
いや違う、そういう話じゃない。
「モンスナック」
の話しです。帰って来たモンスナック、なのであります。
早かった、ほっとした、ありがたい。そう思っている諸兄の気持ち、よくわかります。
モンスナックと書いて日常と読む。モンスナックは日常です。決して特別なものではないし、特別なものであってはいけない。あくまで新宿にあり(ここは大事。それだけに仕方ないとはいえボンベイが代々木に行ったのは惜しまれるな)日常であり、空気かなんかのようなものでないといけないのです。
味、といえばモンスナックのカレーはカツも含めて特別にすごくおいしいものではないんだよね。ある意味玄人好みの味といえます。強くなく、ちょっと何か特徴があるようなないような、例えばしばらく食べていないと「どんな味だったかなあ」と輪郭がぼやけてくる。そして食べればくっきりと「ああ、これだよな」と思い出し、頷いてしまう。そしてこれはモンスナックでしか食べられない味であることは間違いがない。そこがいいんです。そういうのがいい。そこに魂が宿るんですよ。
毎日食べるものはおいしすぎてはいけないと思っています。
モンスナックは日常の中にいつでも必ず存在し、頑なにそこを動かず、思い出してそこにいけば必ずある、そうでなくてはいけない存在だと考えています。
今日は食い物の朋友、カネダさんと連れ立って新生モンスナックを偵察に出向きました。僕ら二人はモンスナックを見送ったけれど、その時最後に駆け込んだりしなかった。そこが矜持です。当たり前のものだから淡々と見送るんです。最後にもう一回だけ、とか歯を剥き出して駆け出すのとは違うもの。
モンスナックでカレーを食べたあと、小田急の路面にある喫茶店ピースでさんざおしゃべりをしました。
彼から「モンスナック道祖神説」というのを説かれてもしろかったんだよ。カネダさんは語り口が独特で面白くもメンドクサイ(褒めてる)いいオトコなんであるのですが話しは長いです(楽しんでる)。その話しを咀嚼すると「なにげなくそこにあって、信仰の対象というほど大袈裟なものではなく、しかし心寄せるようなもの」ということらしい。いやいやさもありなん。大変に納得、同意ができるんです。新宿であれば、モンスナックを筆頭に、王ろじやここ喫茶ピースなども同様の道祖神なのでしょう。
喫茶ピースはけむりがもくもくと充満する今時ではない喫茶店。タバコを憎んでいるわたしだけどカネダさんに免じて許容しました。あとね、こういう昔風の喫茶店じゃないと得られないものもあるんだよな。まあ失敗でした。気持ちが悪くなった(笑)京王百貨店の催事で買った淡路屋の「たこ壷カレー」は翌日食べることに決めました。カネダさん、次はやっぱり禁煙の店にしようね。
しかしコーンサラダはどうなってるんだろう。あの日他の客のテーブルを見回したがどこにもなかったんだよね。あとで聞いたらどうやらあのサービスは続けているらしい。初日でお客も緊張してたんだろうなあ。
不思議なことに、あの紀伊國屋の地下の空気が、ちゃんと高層ビルの地下にもそのまま持ち込まれていて、なんでだろうと繰り返し考えたよ。