新宿の京王百貨店で「第57回 元祖 有名駅弁と全国うまいもの大会」が開催されました。少し前に気になる情報がわたしに届いたんです。そいつが手に入るかもしれない。
駅弁のフェア、行かねば。
カレーですよ。
兵庫県、山陽本線。西明石駅の名物駅弁とくればご存知の「ひっぱりだこ飯」。
あれ、いいよねえ。あの入れ物。真だこ、穴子、季節の野菜が入ったお弁当で完全オリジナルの蛸漁に使う蛸壺風陶器に盛り付けられたあれです。
あの「ひっぱりだこ飯」でお馴染みの有名弁当店、
「淡路屋」
がカレーをひっさげて登場という話が耳に飛び込んだのでした。これを見逃す手はないよ。
金曜の夕方、人気の駅弁との情報で不安だったんですが、うまいことまだ
「たこ壷カレー」
が売ってた!しかもブースでは実演調理盛り付けが行われているじゃないですか。
ほおほお、これは楽しいぞ。この日「モンスナック」詣を共にしたカネダさんがお得意のコミョニケーション能力の高さで写真オーケーを取り付けてきます。さすがだねえ。
お弁当、無事確保して、目移りをせぬように早々、会場を後にしました。いや、だってさ。
釧路の「こぼれいくら!サーモンかにちらし」、米沢「米沢牛炭火焼きサーロインステーキ弁当」、岩手久慈「うに弁当」と魅力的な駅弁が山盛り、それで特に危なかったのはJR貨物のコンテナを模したパッケージが圧力強い「JR貨物コンテナ弁当 神戸のすきやき編」と「新SL大樹日光埋蔵金弁当」は我慢するのに苦労しましたよほんとうに。赤福が売り切れだったのも痛かったなあ。ああ、全部買えばよかったかやっぱり。
とはいえ無事目的を果たし、さて翌日。淡路屋の「たこ壷カレー」何度見ても魅力的なパッケージです。掛け紙のタコがターバンを巻いているのも愛らしいね。
開封するとこれですよ。なかなかに見栄え良く、嬉しくなります。
とはいえちょっとこれだと入り口が狭い。そりゃあそうだ、たこつぼだもの。それで、みなさんに色々見せたいと思い、皿の上で解体です。カレーライス風に盛り付け直しました。補足ですが、蛸壺からスプーンで食べるのはかなりいい感じで嬉しさが込み上げます。決して食べにくいことはなかったし、お弁当箱から直で食べる楽しさこそお弁当ですからね。
さてまずカレー。
カレーはちょいと苦味が残るのが大人っぽい、ドライカレータイプ。へえ、いいかんじだぞこれ。キーマカレーではなくクラシックなペーストタイプのドライカレーという感じです。けっこうなスパイス感があり、カレー粉の香りが心地よくて。旨味強く、ピリ辛でバランスが取れています。うん、完成度高いね。
これに合わせるご飯がまたなかなかの良いものなんです。ごはん、これはきちんと研究された納得いくものだとわかります。ぱらりとした炊き上がりが素晴らしい、バターの香りとどこかほんのりサフランの香りがするようなごはんです。脂っこさ、しつこさない洋食店のバターライスといった仕上がり、そう表現できそうです。それをドライカレーと合わせればなるほど、洋食の町神戸生まれのことだけあるなと感心させられました。いい、いいよこれ。
タコ、舌触りふわり、噛めばぐいっと歯応え、ぷりっといい感じで。味付け煮込みで当然ながらの和風の味と香りです。うーん旨いねえ。そしてこれがカレーとまたよく合うのよ。タコのてんぷら(練り物)も良かったしね。強い甘じょっぱさ、ちょっとパサつくかな、と感じる少し手前くらいの仕上げでこの感じも悪くないのです。甘味感じる旨いパプリカも上出来でなかなかに満足感が高いです。
あくまで和風、あくまでお弁当。だから冷めている(常温)わけですが、まったくそれがマイナスになっていないのが素晴らしい。ここらへんはさすがのお弁当専門店がわかってやってる感が強いチューニング。感心させられます。カレーは和風と言ったんですけど、喫茶店的な意味での和風の、ニッポンのドライカレー然としており、それがいいわけです。
これはやっぱり電車の中で食べてみたくなるよね。
【追記】
で、これを食べた翌週に出張で新神戸へ。新幹線駅の土産物コーナーであんな地物に出会いました。お隣の明石が本拠地だもんねえ。海保のたこ飯の紺色の壺も現物を見られました。あとなあ、コーヒーカップ。売り切れだったなあ。ほしいなあ。現物見ることができてますます欲しくなったよ。