もういまさらね、わたしが書く必要もないんですよ、この店の鯖キーマのことは。
そう、それはもう、ここがアキノ・リーさんのホームであるから。
カレーですよ。
その魅力はリーさんが書き続け、書き尽くしているはずであり、それはカレーが好きな皆さんなら知っているはずです。
とは思うんだけどね。やっぱりあれですよ、食べれば書きたくなるこの性分と、書かずに居れない、背中押される超越的旨さ。それがわたしを突き動かすわけです。
これだけ書けばお店がどこかは察しのいい皆さん、カレー好きの皆さんはもうわかっているはず。
高田馬場のカレースタンド。
「カレーライス専門店 ブラザー」
のことです。
カレースタンドという言い方がこれほど似合うお店、あまりないですよ。最近ではすっかり減ってしまったカウンターだけの狭くてその狭さが心地いいカレースタンドという業態。
ブラザーはそれを近年になってからそれをチョイス、営業を始め、その実力が世間に伝わり、という感じで営業を続けてらっしゃいます。
何年ぶりになっちゃったかなあ。何年も前にマスターの「やっぱりチキン野菜カレーが基本です!」の言葉を記憶しています。本当に久しぶりになっちゃったけどそれ覚えてました。が、からだが、指が、自動的に券売機の
「鯖キーマ」
を押しているんだよ。何年も来なくてもなぜか絶対そうなっちゃう。絶対そう。
誓って言うけどね。そのボタンを押すまでの間の記憶は、ないです。知らぬ間に手のひらに鯖キーマと書かれた小さな紙切れが残っていて、呆然とそれを眺めていると、そのチケットをたちまちねえさんに奪われるわけですよ。そしてマスターがスパスパと手を動かしてわたしの鯖キーマが出来上がっていきます。わたしはただフラフラと席に腰掛けてその手元を見つめるだけなんだよ。ああ、この流れに身を任せる快感、、
さて、鯖キーマ。
以前も書いたと思うのですが、カレーであってカレーでない。そう感じます。ちょっとカレーと伝えるにはベクトルが違うものという感が強く出るんだよね。お汁、煮込みじゃないんだよ。かといってつぶつぶキーマでもないんです。和食のお惣菜でもおかしくないこの味や雰囲気。サンドイッチペーストになってたらうれしいよな。野菜と一緒にピタに入れたらそれもいいんじゃないかな。そうか、ペーストか、そういう感じかもしれません。
しかし、やっぱりごはん。ごはんがが抜群に進むんですよね。たちまちごはんの山がなくなってゆきます。ああ、ごはんは大盛りにしとけばよかったか。合わせるのはごはんがいいな、やっぱり。
あんまり久しぶりになっちゃってたからキマリ悪くてね、そっと食べてそっと立ち去ろうとするも、マスターに発見、捕獲されました(笑)
何年か間があいてしまっているのでね、顔見るとやっぱりキマリ悪い。でもにこやかに声をかけてくださって、そのお気持ちにこちらの気持ちもあたたかく緩んできます。
気づけば日も落ちて後ろがつかえる時間帯、少しだけマスターとおしゃべりしたかったけど儘ならず。うん、また早々お邪魔せねばいけないな。