カレーですよ4833(宇都宮屋板町 HARRY CURRY ハリーカリー)新解釈、カツカレーの驚きと凄み。

スマートフォンでカレー店を探していました。下調べをしてカレーだけのために出かけると言う事は最近はしていません。良い悪いではなく、スマートフォンがあるからでもなくてね。

 

 

カレーですよ。

 

 

実はそこらへん、昔から変わっていないのです。もともとフーテンの気質がある、風の向くまま気の向くままの男なのでね、行った先で何とかなるだろうといつも思っています。そんないい加減な男をカレーの神様は見捨てたりはしないんです。いや、本当は見捨てられる時も多々あるな。あるある。当たるも八卦当たらぬも八卦なんです。それでいいと思っています。

この夜は、当たりを引いたなあ。かなりのスマッシュヒット。宇都宮の少し手前にいました。

 

「HARRY CURRY / ハリーカリー」

 

という店はまず、外観が良いのです。

 

きちんとデザインと言うものがある美しいファサード。ロードサイドのスッキリきれいなカフェと言う風情です。そこをカレー専門店と言う形で持ってくるのは今風だと言えるんじゃないでしょうか。デザインが綺麗、美しいというのはやりたいことがある、着地点を設定してあるというのと同義だと感じます。店内も同じく非常に良いですね。おかしないじり方をしないクリーン、スッキリしたインテリアの中にきちんと意志のようなものが見えます。

小さなキャッシュカウンターがあり、プラスティックのメニューパネルがはめ込まれています。そこで先に注文と支払いを済ませてそれから席に着くというやり方。注文をしましょう。

 

「ハリーミート Mサイズ 2辛」

 

としてみました。

カレーソースは2種あって、クリーミーとフルーティーから後者のハリーをチョイス。トッピングなしのプレーンとベジ、ミートがある。ミートをチョイス。ライスは250gのM。辛さを少し足してみました。やってきたカレーは予想をはるかに越えるよいものだったんです。

カレーソース、ひと口で虜になりました。舌の解像度が上がったような気分、とでも言いましょうか。

丁寧さがよくわかるカレーソースです。ふるふるとしたタマネギの食感残る、まさに名前通りのフルーティな感覚が印象に残るもの。日本人が考えるインドカレーのレシピがその遠いルーツにあって、それを現代に引き寄せて構成される感がありました。旨味と不思議な香ばしさが並行して存在しているのがおもしろいんです。融合の一つ手前くらいでの共存な感じ。だから記憶に残ります。そこに酸味も同時に足されていました。オリジナルでしょうか辛さを追加したのですが、濃い茶色の辛味ソースでここにも少し酸味の要素があって完成度高いカレーソースをさらに引き立てます。イヤな違和感はないですね。いろいろすごいな、バランスとか完成度とか。

美しく並べられ、クリスピーなフレークをかけられたローストポークは大変に上品です。ちょっとハッとする上品さでした。モダンなラーメン店でレストランに大きくスタイルを振ったお店なんかがこういうチャーシューを出すことがあります、そういうのを思い出すねえ。というより素直にイタリアンなどでこういう料理があるよな、とも言えましょう。

添えられた酸味強いみじんにしたキャベツピクルスも大変によいものです。

とにかくカレーソースがすごく好みで嬉しくなったんですが、それを超えてトッピングのポークがすごく面白いんですよ。その構造を考えて至ったところで震えが走ったのです。

 

これ。

 

これは思うに持っている要素をいったんバラバラに解体してから、改めて再構築した「カツカレー」なのではなかろうか、という考え。だとしたらなんと洒落が効いているのだろう!

ポークの上品さと丁寧に並べてあるプレゼンテーション。これはカツカレーでカットレットをご飯の上に並べるときに、まな板の上でザクザクザクと切ったカットレットを包丁に乗せ戻して一気にごはんに整列させるあの所作を思わせるものじゃないかしら。その上にこの店ではクリスピーな揚げ玉的フライが散らしてあります。あいだに薄くマッシュドポテトをかましてあるのも面白いです。そう、これはポークと衣を別立てにしてあるカットレットなのだね。並行世界の向こう側のカツカレーと呼んでもいいんじゃなかろうか。すごいぞこれは。

 

トンカツと呼ばないのはわたしの文章をいつも読んでくださるみなさんはもうお気づきのはず。トンカツではなくカットレットが正当なカツカレーであるから。あっちはトンカツカレーなので。

さておき、カレーもお店もとにかく素晴らしいんです。

木の床材の質感のこだわり、インダストリアルな色と形のカウンターチェア、クリーンでスタイリッシュな中にレジスターだけをアクセントとしてイギリスのパブにあるような重厚で昔風のものを選ぶセンス。(しかも表示は液晶でバックライトがつく。実にセンスいい)帰りしなにホールの女性にとにかく美味しくて感激したことを伝える。その時に気がついたんです。壁に小さく目立たぬように英文字で、1Fがこの店、2Fに建築事務所がある旨表記があったんです。色々な謎が解けた気がしたよ。

センス高いインテリア、エクステリア。カウンターの脇の細い通路の奥にある小部屋的テーブル席。カレーの皿とレジスターのデザイン的リンク、カレー自体のプレゼンテーションと一捻りあるカツカレーの解釈。ああ、なるほど。心地よさの根源が少し見えた気がします。

 

すごい店に出会ったしまった。