ちょいと当てにしてたお店に振られました。よくあります。すべててわたしの不徳といたすところ。とにかくこんなに食べ歩きをしているのにお店の休業日をどうにも確認をしない男なのです。
カレーですよ。
そんなこともあってそこから駅に引き返す途中にあることを知っているお店に足を運びました。
高円寺、中央線のガード下にあります。
ビリヤニの専門店。
なんか間違ってるよね、ビリヤニの専門店。本国だってそんな特化型レストランはそうそうないんじゃないかしら。名前は、
「エリックサウス高円寺カレー&ビリヤニセンター」
そう、イナダシュンスケ御大が企画すればこういう感じだって成り立っちゃう。いやなんか、圧倒されます。マニアックな面白い部分とそういう部分を押さえ込んで(押さえ込めてる?(笑))ちゃんとビジネスとして成立させるところに凄みとおもしろを感じてしまいます。
さてと、15時までやっててくれるありがたいお店。洒落た内外装でいい感じに大人っぽい。
開店当初のちょっと洒落すぎた感もこなれてきていて居心地、ますます良くなっていました。
注文は、
「ツインビリヤニ」
とします。
なんということをするのだ。そう思いました(笑)いやだってさ、ビリヤニ2種セットって、ビリヤニの食べ比べってそんなご無体なことを。本国には多分やっぱりないじゃないねえ、ビリヤニの食べ比べセット。そんなことしないよね、インド人。知らんけど。面白いことやってくれるなあ。欲張りなあたしは迷わず選びました。
ツインビリヤニはチキンとマトンキーマです。マトンキーマでビリヤニはあまり見かけないよね。面白いよね。
チキンビリヤニはドラムスティックがドンと1本入り。しもこれ、なかなかの仕上がりなのであります。いい焼き色で、ちょいと水分少なめなのは意図どうりなのか調達調理の関係かな。インドっぽいのだよこの感じ。グレイヴィとライタをかけてやるとイキイキしてきてとてもよいんです。
ビリヤニ自体は香り強くスパイシーでこりゃあなかなか素晴らしいもの。素直にうまいしちゃんと辛いしで、たまらぬものがあります。グリーンのドライレーズンなんか入れるところがニクイ、うまい、洒落ている。バランス作りが上手いなと感じます。ああ、これおいしいなあ。
マトンキーマビリヤニはミドルホットでちゃんと香りを変えてあってこれまた好ましい。マトン、うむむ、こりゃあうまい。ああ、これはいい、いいぞ。マトンキーマという名前ですがいやいや、けっこうな大きさの肉ごろごろではないですか。マトンのクセ活かし、しかしイヤミのない脂が全体に回っていてとてもよくできています。
お肉、なんだこれこの仕上がり、うめえなあ。あ、そうか。デカ肉と思ったのはマトン挽肉の塊だねこれ。柔らかく、香り高く、ふっくらしててクセになります。これは困ったなあ。帰りに別で持ち帰りを頼みたいくらい美味いよ。
おやおや、ライタまできちんと手えかけてあってちゃんとうまいぞ。ヨーグルトそのまんまではなくちゃんと調理過程がわかる味です。きゅうりがぽりぽりと多めでいい感じ。これ、あれか。テンパリングしたオイルを入れたのか。カレーリーフのいい匂いがするよ。うまいねえ。
ついてくるグレイヴィはチキンカレーのうまいやつ。タマネギ焙煎で甘くしたこれは、難しくしてなくて日本人の方に顔が向いたうれしいやつです。確かこれ、エリックサウスのスタンダードチキンカレーだったっけ。いいものです。おいしい。素直においしいな。ただ、ビリヤニ自体が美味しすぎてこれで味をいじるのが躊躇させられるってのは本当の本音。お好みでってやつです。あとひと口、これ用に白ごはん欲しい(笑)
意図とか意思とかをちゃんと反映させている料理が好きなのですが、これはそういうところがあると思います。
なんというのかな、どこか日本流、イナダ流の洗練もあるんだよね。
インドレストランのインド人シェフの皆さん、日本人がやってるビリヤニ店、侮ってはいけないぞ。日本人の舌は舐めてかかるとおっかないよ。なかなかのもん持ってるんだから。