午前中のSNS定期投稿(ブログ更新通知他)その他の日常作業を行っているときに、席が空いていますよ、の発信を見つけました。
カレーですよ。
そのツイート元はあの行列店だよ、おやこれは珍しい。そんなチャンスは滅多にないですからね。
では、とすぐさま腰を上げて押上に向かうことに。近くてうれしいねえ。
「スパイスカフェ」
にやってきました。
どうやら伊藤シェフは不在の様子。ならば顔バレなしでのんびりさせてもらうとするか(笑)。
ホントは伊藤さんともおしゃべりしたかったけどね。
スパイスカフェは来年でもう20年。下町のセルフリノベーションカフェの草分けと認識しています。あの日差しが心地よく入るリラックスのある場所に自分の身を置くというのを想像するだけで楽しい気持ちになるんだよね。本を一冊カバンに入れて出かけてきました。
窓から陽が入る、隅にあるこじんまりしたテーブルに着きます。注文は、
「カレー2種」
選んだカレーは季節のカレーの牡蠣。それと海つながりでエビとしてみました。
牡蠣
牡蠣は個性が強く出ます。いろいろなシェフが牡蠣をカレーに合わせるようになった昨今であるのですが、伊藤シェフはまろやか、穏やかに着地させます。バターのような乳製品の香りのようなニュアンスに仕立ててあって、口当たり穏やか。牡蠣の旨みや感覚を使わされる感じの複雑さをふわりとスパイスでくるみ、まとめてあります。大きなのが3粒入ってます。大変旨いな。
海老
スリランカ風仕立てです。香ばしさと旨み際立つお味。口に入れる直前に香り、ひと口目で感じるのはスリランカ料理の仕立てを土台にしてあるも、やはり伊藤シェフのスタイルであると確信できる感。南アジアそのものの料理よりも洗練を感じさせる着地点です。これは好みだなあ。
ごはんに乗る副菜の青菜の炒めはマスタードオイルの香り。クセはありますが他のカレー、おかずに合わせるとその実力が発揮されるのでそのこと忘れるべからず。
それと、キャベツが存外に旨いのですよ。これはたまらないぞ。
この感じのキャベツ、ものすごく好きで、その中でも三軒茶屋の「シバカリーワラ」のバケツキャベツと西小山の「小さかった女」のでかい瓶で出してくれるあれとが最高に好きなんですが、伊藤シェフのこれもとても好き。前出の2店より穏やかな味付けのマリネです。
そして、うっかり頼んだ大盛り。忘れてたよ、スパイスカフェの大盛り。そうだった、しっかり大盛り、というよりかなりの大盛りなのだった。そうだった。カレーライス足らんとする気概を感じる量で腹パンになります。もうホントにサイコーなのであります。
こんな洒落た、わたし以外のお客が全員女性であるこのお店が、ひとこと「大盛り」と伝えると、突然牙を剥くわけで。それが嬉し買ったりするんです。伊藤シェフの根っこをちょいと垣間見た感がありますね。きっとカレーライスが好きなんだと思う。そういうことだと思う。
伊藤さんの取り組みやその視線の先にあるものを想像すると、カレー店、カレー屋さんなどいう言い方は口が裂けても言えないと思っているのですが、けどしかし、きっと伊藤さんはカレーライスのことも大事に思っているのだと思うんだよ。
この量のメシを旨いカレーソースで掻っ込む爽快感。そういうものをちゃんと残してあると感じます。
窓から入る光でグラスの水の輝く影ができるところも、店内隙なく洒落ているところもみんな好きなのですが、やはり、それ以上に、スパイスカフェの伊藤シェフのそういうところが大好きなんです。