懐かしきあの味がいまも渋谷にあるのです。忘れてはいけないあの味。久しぶりにやってきました。
カレーですよ。
「パク森」は1993年に市ヶ谷の店から始まったカレー専門店。わたしも市ヶ谷の靖国通り沿いの店に何度か食べに出掛けています。カレーのあいがけという形をメニューとして世の中に定着させた店と言ってもいいんじゃないかしら。メディアにもたくさん露出、話題となりました。
渋谷にもお店が出来たのですが、その後2014年春に市ヶ谷が閉店、渋谷店に統合ののち、2018年に創業者夫妻がその看板と共に北杜市に移住。レストラン形式ではなくカレーファクトリーとして冷凍カレーの製造に着手します。ほぼ通販オンリーとなり、近隣であれば「道の駅はくしゅう」で直接手に入れることもできます。道の駅はくしゅうによく寄るので初めて見た時には驚いたものです。そうかあ、北杜市かあ。そこで移転を知ったのでした。
渋谷の店は実質の暖簾分けという形で看板を架け替えて営業を続けている。
「カレー屋 パクパクもりもり」
店主のあの顔のロゴは無くなりましたが「パク森」を彷彿とさせる名前を残してあり、ファンには嬉しい限り、なのです。
久しぶりのあの味です。さて、わたしの記憶と変わってないのかどうなのか。
「パク²もり²なすぴ~」
を注文します。
カレーソースは正しき日本のカレーライスのスタイル。しかし、手の掛け方やきめの細かさ、甘さの引き出し方がよくあるものとは違うと感じさせます。フルーツからの甘味なのでしょう、角の立たないまろみが魅了的です。かっちりとオリジナリティがあるよね。30年前にこの味ならそりゃあお客も集まるというもの。
ドライカレーもすごくいいです。もうひと声、トマトを強くしたら極ウマのミートソースになるはず。そういう味です。このまんまだとおいしいそぼろという感じ。炒り卵と合わせてお弁当にしてみたくなるね。それがいいんです。そういうドライカレー。
そして、その2つを両方合わせて初めて世界観の完成となるわけです。もちろん単品メニューもあるんですが、ここは一つ当時のまま、あの頃のいちばん人気のメニューで注文したいですな。うん、これだ、こういう感じ。パク森のあれ、あの頃の味。正確にはかっちりと覚えていなかったのが正直なところなんですが、あっこれ、と思ったのは事実。とてもうれしい。
ナス、ピーマン、玉ねぎが炒めて乗っているものを注文しました。少々ニンニクなど使ってパンチを効かせてあるようでこれがなかなかいいんだよ。
テーブルにはきゅうり甘酢漬けと福神漬け、それに辛さや香りを増すためのガラムマサラや辛味調味料、炒りごまなどが用意されています。きゅうり甘酢漬けがずいぶんいいなあ。激辛調味料も量さえ間違わなければ少し酸っぱい風味と刺激が追加されてなかなかいい塩梅になるんです。これ、好きだな。ゴマも印象が変わって楽しいです。
「カレー屋 パクパクもりもり」のこういう味。こういうのが多分本当のところの「みんなが好きなカレー」なのじゃないかあ、と思っているんです。
甘さでうれしくなるカレーライスはやっぱりみんな好きだと思う。