あっち(どっち?)方面では鳴物入りのレストランらしいんですよ。2023年3月、東陽町に開店した南インド料理のレストランがあります。
カレーですよ。
実はこのレストラン、他のインドレストランと成り立ちが違う。おもしろいんです。
日本にあるインド映画の配給会社、株式会社SPACEBOXが始めたレストランなのだとか。へえ〜おもしろいなあ。
スペースボックス代表のインド人女性、アンバラシ・デュライパンディアンさんは旦那さんとの結婚で日本に身を置くようになりました。ご自分で好きなインド映画を観たいという気持ちからスタート。地道に、草の根的にインド映画の小規模な上映会という形から始めて配給会社設立に至ったらしいんです。会社の所在地を見たら、ほぼうちの町内でした。驚いた。なんだか親近感が湧くなあ。
「ニラー レストラン」
というレストランは、それがあって映画館がコンセプトというお店になりました。
たくさんのタミル映画などのポスターが貼ってあり、新しくてモダンですが雰囲気もあって。これは興味深いお店ができたねえ。日本でインドの人が映画の配給会社を起こすというのがまた感慨深い。そういう時代になったのだね。
東陽町、江東区役所の隣、というイメージの路地にあります。幸いこの立地、わたし的には自転車アクセスで楽々なのでありがたいです。
日曜の遅いランチに出掛けてみると、ブッフェデイの様子。よしよし、かかってこい(笑)。ブッフェ、スキよ。歳とったから山盛りどんどんおかわり、とかじゃなくて調整しながら少量で色々な種類を食べられるってのは堪えられない楽しさがあるよね。うれしいです。
さて、ブッフェテーブルへ。
まず目についたマトンラチャビリヤニ。これがえらい美味いんだ。
きちんと温かくて、香り良くて。しかもチキンじゃなくてマトンです。食べ放題でマトンビリヤニかあ。すごいなあ。
食べるとつい唸り声が出てしまうくらい美味しい。うう〜ん、こういうのを食べ放題にしちゃうというのが恐ろしい。どうやら最近では日本人に流行りらしいビリヤニですが、こういうお店でちゃんとしたビリヤニを知るといいと思うよ。そんないいものを思う存分食べられるのはただ事ではないよ。
ラッサムはガーリックと胡椒がガッチリ。パンチの効いた、でも酸っぱすぎたり辛すぎたりしない、好みの良い落とし所です。ちゃんと個性もあって見てくれも悪くないし。
これいい、オーケーだね。おかわりしよう。
カダンバサンバル、すごくいいです。すごく美味い。正しくサンバルのど真ん中にある味で、あまりどろりとさせない好みの濃度。世界中の火を通した野菜を摂る方法としてトップ3に入るんじゃないかしら、サンバルという野菜シチュー。もちろんおかわり、いきます。1回目はカトリ1杯分、ただもう無言ですすってしまったよ。2回目はせっかくなのでビリヤニは食べきって白ごはん(もちろん長粒米でさらっさら)と共に。ちゃんとドラムスティックが入っていて繊維部分を口からつまみ出す幸せが味わえます。まったくいうことがないな、こりゃ。
コジヴァルタカレーはフライドチキンの煮込みでした。けっこうな辛さでターリの上に色々と広げた時に全体が引き締まる感じです。そういう役割だな、この辛さ。強く舌に効いてくるので少量を他の料理と混ぜながら食べるといいですね。骨付きのチキン、うまいなあ。
ウルライパッタニコールマ。じゃがいもとグリンピースのコールマかしら。これまたいいねえ。濃厚、クリーミー、香りもいいです。辛くせず、あくまでマイルドでジャガイモがいい感じなんであるよ。ジャガイモが大好きだー。
ダルマッカニもいいですね。主役はれる個性があります。半固形といえるくらいの高粘度でクリームやバターを使う濃厚な味わい。こういうレストランっぽい料理もいいよね。
カイカリピラタルーは野菜の炒め煮。サブジ的な感じでドライ仕立ててあります。これもいいおかずだねえ。野菜が進むねえ。こういう料理を食べるとインド料理は、スパイスは、野菜の可能性を強く引き出してくれるなあ、といつも思うんです。野菜だけっていうとがっかり顔をする人に食べさせたいよ。こんなに強弱、幅広い味が作れるんだから。
イドゥリもあって、しかもほかほかで。いやあ、なんということだ。
その横に置かれた胡麻チャトニ、これはお土産にしたいくらい。むしろ和食に合う味だこれは。とてもおもしろいなあ。
オニオンボンダも美味い。美味いなあ。
べサン粉(豆粉)の揚げ団子ですがコリアンダーの効かせ方なんか悲鳴を上げたくなる巧みさで、泣けてくるよ。タマネギの甘みがいいねえ。
ほうれん草のナーンはいささかギー塗りすぎのゴージャススタイルでしたが、悪くないな。変な甘みもなく好感が持てます。
なんだかんだとパンが欲しい人はいるのでこれがあるのは親切です。
マカロニサラダもいい感じ。マサラ・マカロニサラダ、という感じに仕立ててあってちょっとクセになる味です。
料理ってのはすべからくピンからキリまであるものです。同じ名前でもピンキリじゃないですか。ここの料理はどれも「ピン」の方です。上出来ってことです。いや、ほんとうに素晴らしい。値段分以上の価値があると思うぞ。タミルの家族が続々と入って来る様子を見るとそれがよくわかります。
ブッフェで1600円は高いと感じる人もいるかもしれないですが、全然そんなことはないね。これはその分の価値があります。きっちりと美味しく、ちゃんと手がかけられているのがわかる味です。うーん、驚いた。いいコックさんを抱えてるなあ。料理がみんな真面目です。
アリガトゴシャマシターとタミル人のウェイターさんがタミル人の若夫婦に声をかけるこの楽しさよ。料理、間違いないしね。
またこよう。