なにか予感めいたものを感じて久しぶりに町田まで。町田とくれば押しも押されぬカツカレーの名店、あそこを目指さねば、なんです。
カレーですよ。
わたし、どうもカツカレーが苦手という意識があるのです。そういう中で銀座スイス、下北沢の般゜若 、そしてここ、町田のアサノの3店はいけちゃうの。むしろ好きなんであるよ。別格なんであります。
それ、なぜだろうと考えたことがあります。
多分3店、どこも「トンカツカレー」ではなく、正しく「カットレットカレー」であるから。それと、きちんとカツとカレーの融合を考えているから。トンカツとカレー、どちらも好きなわたしなんですが、どちらも好きなだけに両方混ざっちゃうのが勿体無い。「おばちゃん!カツにカレーかけないで!ごはんの反対側にのけといて」とか叫んでしまうわけです。そんでとんかつにはソースかけたい。
美味しく、個性強い2つの料理であるから混ざるとなんというか、下世話になるじゃないですか。それがいいって意見も知ってます。ところがそうならないやり方を見つけている店もあるんだよね。それの最たるものが、
「リッチなカレーの店 アサノ」
です。
仲店商店街の細い細い路地を体をひねるようにして入っていくと。うむ!タイミングよく行列がないではないか。こりゃあうれしい。ちょうど行列が店の中に収まったところだったみたいです。ひとりで少し外で待ってたらすぐに席につけました。幸先が良いぞ。
で、カウンターの中を見ると、、、あ、あれ?マスター若返ってる、、、いや、違う(笑)。彼は息子さんだ、そうだ。浅野さんから聞いて知っていました。外の飲食店に勉強に出ているんだよ、とめをほそめてらっしゃったよな。そういうの、こちらまで嬉しくなります。そうか、彼が帰ってきたのか。
久しぶりに来てみればその息子さんご当人がおかあさまと2人でカウンターに入っているというこのうれしさ、感慨深さ。マスターは出かけていたようです。
挨拶をして、お客が帰り始めたカウンターで少しよもやま話。もちろんマスターはまだまだ現役。でもそこに息子さんの純平さんが入ることでお店としても幅が持たせられるのではないかしらね。その効果はもうすでに出ているようで、SNSの運用も始まっているし、札幌でこの味を楽しめるアクションなどいうのもすでにあったようです。おお、すげえな。
おっとっと、カレーだよ。
「カツカレー」
肝心のカレーは言わずもがな、です。いつ見てもどこから見てもアサノのカツカレーであり、見ても食べてもこれと同じものは毎度他にはないよなあと確信します。あのさらさらしたうまいカレーソースとこれまた最高の銘柄豚、神奈川産の高座豚が使用されるカツレツ。どちらも実に素晴らしい。カツレツは衣シャリっと気持ちよく、豚肉の歯応えサクッとこれまたよい。ついてくるお馴染みの漬物もうまい。ああ、これじゃないとなあ。
個人的に心の中で「あっ!」と思ったのが、純平さんのお客さんたちへの声掛け。お父さんそっくりだと感じたのです。マスターである二代目の浅野さんの雰囲気、キャラクターがとても良いんですよ。親しみやすく人懐っこく、それでいて飄々としていて。その資質がつけ継がれたか!と感激しました。そう感じさせる声掛けなのです。
辛抱堪らずに、わたしの12年続く雑誌連載の取材をその場で申し込んでしまいました。この機を逃しててなるものか。これからのアサノを知らねばならないと強く思ったから、です。
きっとそれが掴める取材になるはずです。