なんだかんだで一目惚れ、カレーの味も店主の人柄、雰囲気も、何としても記事にしてみたい、ということで2回目の来店で雑誌取材を申し込んで3回目のお邪魔でお話を聞いてしまいました。楽しい取材だったなあ。
カレーですよ。
たまにこういういきなりアクセル踏んづけてタイヤがなるようなダッシュをかけたくなる店があるのです。キタよなあ、ここは。
すごい好きになりました。カレーの味と店の雰囲気と店主の笑顔。そのコンビネーションにやられたんですが。京王柴崎にある、
「咖喱ふぉるにあ」
というお店です。
思っていたことと違ったのが、実は店主はオーナーシェフではなく間借りであること。で、店のオーナーも店主もどちらもミュージシャンであること。ああ、なんかとても面白いぞ。お話を伺いに来て本当に良かったよ。間借りで月〜金営業を3年やってらっしゃる。これはもう、認めざるを得ない、きちんとした飲食店運営です。
ご存知の通り、間借りの店をメディア、媒体に書くことを積極的にやっていません。理由は一度、間借りの店に裏切られたから。取材をして記事を書いてレイアウトが決まって確認をとって。いつものように仕事を進めていたら印刷も終わって各店頭に媒体が並ぶ前々日、メールで「お店たたみました。固定のお店で始めることにしました。」という連絡。そりゃあないよね、うん万部も発行される媒体でこのタイミングで。全員ではないと思っていますが、こういう裏切りがあると、ちょっともう以降はそういう形態で営業なさってる店には取材に行けない。
で、今回はそれ以降初めてそういう不安を払拭してくれる人柄と実績だったので。そういう店が現れたのが嬉しかったのです。
店内のかっこいい雰囲気、すごくいいのです。フェスからのリンクを強く感じるインテリア。アウトドアギアで決めたテーブル席、プロ機材然としたかっちり組んであるDJブース。壁のフライヤーは音楽や映画などのものが多くて見ていてとても楽しい。世界観の作り込みが深くあるお店です。
で、カレー。店主のカレーがどうにもこの小さな世界の中でしっくりとなじみ、とけあうんですよ。間借りで、インテリアエクステリアはオーナーの趣味なのにね。不思議なくらい違和感なく、堂々とこのお店のカラーの一端を担っている味なのです。オーナーのセンスとの融合はなかなかに驚くべきもの。おもわずうなるよ。
にこやかな髭のにいさん、ジョニー佐藤さんはとても感じが良くて、こりゃあ近所なら通うだろ、という感。京王線沿いに人たちが羨ましいな。
この日のカレーも素晴らしかったですよ。味の話もさることながら、やっていること、発想がいいの。取り組みの枠の取っ払い方、括りからの脱却、自由というものが本当にカレーに表れていると感じます。ご本人は「インド人の料理を自分なりに忠実に作っているだけなんですよ」とおっしゃるのですが、いやいや、その調理をする手のひらからフリーダムが溢れてるでしょ。それがカレーに注がれて、狭いジャンル分けを越えていってるでしょ。そんな力を感じるんです。
ラブアンドピースとチルがあるよ、ここ。こんなカレー店はなかなかないと思う。
「エキサイティングマックス!12月号」、本日発売です。