久喜、幸手、意外と用事がある人以外読めない埼玉の地名。五霞なんてのもあるよね。それぞれ、くき、さって、ごか、と読みます。五霞は4号線を通りかかると「道の駅ごか」に寄るのでそこで読み方を覚えました。
カレーですよ。
さて、幸手あたりにおりました。ダジャレじゃないんだけど文字でならべるとダジャレっぽくなっちゃうよね。
昼になったのでカレー屋さんを探します。当てにしていた店があったんだけど、臨時休業みたい。
それで途中で見かけて気になったスリランカ国旗はためくプレハブに戻ることに。道中常に目を凝らしているのでカレー店の見逃しはないのです。とはいえ街道沿い以外はあまり走らないので目視で発見はそう多くはないのだけれど。
「スリランカレストラン kamukamu幸手店」
です。ここが目から鱗のいいお店だったんです。
外観を見ると看板の「お弁当」の文字からも弁当を強く推している様子で、からあげ、などいう表記まであるぞ。一見イートインできないお弁当専門店のような雰囲気なんですがちゃんと店内で料理が食べられるみたいです。なんでも元々たこ焼き屋だかの屋台的な建物だったようでなるほどと納得。
イートインの入り口がちょいとわかりづらい、入りづらいんだけどね。でも大丈夫。扉を開けるとスリランカ美人の女将さんが愛想良く迎えてくれました。
選んだのは日替わりのスペシャルプレート、
「カムカムプレート」
セイロンティーと本日のデザートがつくセットにしました。
料理を食べるとね、初めから終わりまでにやにやと笑い顔が治らなくなったよ。全部旨いから。すごかった。
さあ、これです。おいしそう。
スパイスチキンカリー
パリッと辛くて香り爽やか。抜けのいい爽やかで青々しい香りがとてもよいんです。スパイス、ツナパハなのでありましょうか、青々と強いスパイス使いでちょっとハーブのような体感があります。心地よいね。チキン、はらはらと繊維が解ける素晴らしさ。大変印象的なククルマス(鶏肉/鶏肉カレー)です。
ムング豆カリー
小豆を煮たときに出る汁のざらり感と共通する舌に引っかかる手応えが嬉しい豆カレー。香り豊かなんですが豆の味を殺さない繊細な調味。他の料理とも合わせやすいです。でもちゃんと個性も持っている。おいしい。パリップではなくダールだねこれは。
大根テルダーラ
特大のモルディブフィッシュのかけらが入るスリランカの炒め煮。かけらというよりぶつ切りに近いのが入っててびっくり。このぶつ切りスリランカ鰹節と大根の組み合わせにぶり大根感を感じてしまうのだよ、驚いたなあ。スパイスも入るのに、ココナッツも入るのに、なぜか日本の家庭風味。そんな気分、そんな味です。
かぼちゃカリー
甘みうれしいカボチャがとけたどろりカレー。かぼちゃの甘さが生きる、田舎の煮付けみたいな感覚のおかずです。かぼちゃの形が残ってるんだけどスプーンですっと払うと跡形もなくペースト、という感じの素晴らしい仕上がり。これも実家の料理みたいな味わいだなあ。
ほうれん草マッルン
味をほとんどいじってないのが素晴らしい、汁気少なめの軽い炒め和え。ほうれん草の香りと味がストレートでそこにココナツとほんの少しの塩、スパイス。ここちいい味と香り。ああ、これいい。ちっと違うんだけどおひたしのニュアンスじゃないかな。
ナスモージュ
スリランカの揚げ浸しっぽい料理なのですが、ほかのところのモージュと明確に違ってて面白い。ナスがふっくらしたままなのですよ。揚げ時間を短くしてしんなりさせていないのだと思う。これがまたおいしいんだ。あまじょっぱすっぱの味がたまらない。これもニッポンのお母さんの煮ものみたいな仕上がりと感じます。
どの料理も他の料理と少しまぜてみて好みの味を作ると楽しいんです。が、ここのは一品一品が単独でおいしくてちょっと困ってしまったよ。混ぜればまた違う美味しさの扉が開くのだけどね。
ワダラッパン
ココナッツとヤシの蜜のプディング。デザートです。これサイコーにおいしい。絶妙においしい。クリスマスのジンジャーマンクッキーの特別上等なやつをプディングに仕立てたような味です。あったかいのがいいよね。ワダラッパンは好物なんですがここのものはスパイスで輪郭がはっきりしています。食感もいいし、おいしいなあ。紅茶もとても良かったです。
体験とか勘でわかるのですが、これ本当にお母さんの味なんであるよ。おうちの味。間違い無い。なんでそう思うのか。それはニッポンの、僕らのお母さんと同じ感覚が味の中にあるから。それを強く感じました。テルダーラがぶり大根に思えたりモージュが家庭の煮物の感覚があったり。マッルンもおひたしやなんやらに近い。すごくいい。そういう共通点を感じます。
なんかすごいもの食べちゃったぞ。