深夜帯に頼りになるカレーの店が少なくなったよなあ。そう感じています。コロナ以前、というよりもバブル崩壊までという言い方の方が正しいかな。深夜カルチャーみたいなものがあった気がしています。
カレーですよ。
そういうものがずいぶん色を変えた感がありました。自分が変わったというのもあるかもしれない。時代的なものもあるでしょう。
ディスコ、クラブ、バー、そういうもののるつぼの昔の六本木あたり。西麻布の交差点から六本木交差点までいつでも渋滞、クルマで30分などいう時代。懐かしいなあ。
いわゆる暴走族も減りました。地方の深夜カルチャーは暴走族と終夜営業のファミレスだよね。そういうものも遥か昔。
わたしの頼りにしていた環八、上野毛の
「パピー」
もいつの頃からかてっぺん回っての営業はしなくなって22時の閉店となりました。当たり前だよ。お店のおじさん二人はおじいさんになったもん。それはつまりわたしもなったってこと。だから、当たり前。
それでも懐かしい気分でなるべく深夜に近い21時半にお店に滑り込んでみたりします。
昔はハンバーグとスパゲッティとカレーがそれぞれ一人前分くらいあるあの大容量メニューを頼んでいましたが。
この夜は、
「パピーセット」
で。ポテトカレーとナポリタンを指定しました。これで、十分。
カレー、パピーのカレーは正しくカレーライスです。
カレーってやつは、「カレーライス、日本のオーセンティックな」と限定したとしても、その味の幅は広く、覗き込むと深淵であるのがわかります。が、その中で「これが、カレーライスだよね」と言って多くの人に頷かれる味の幅ってのは確かにあるんですよ。そういうカレーだねこれは。離れがたい。忘れがたいやつ。
薬味は福神漬け、らっきょう、レーズン。レーズンってのがよくってねえ。これ乗せて食べるとなんというか、喜びが湧き上がる。なんかいいんだよな、昔風でシャレていて。
ナポリタンはあっさり味。喫茶店的な感があります。濃い味でぺったりした感じのナポリタンは洋食店のイメージ。これはさらりとした喫茶店イメージです。軽快に食べ進められる感じで、タバスコがよく合う味なのです。
なんというのだろうね、この充実感。広い窓から走るクルマのテールライトの赤を眺めながら深夜に食べるからこその幸せ、あるんです。もちろん人によってはランチのパピーのイメージを持つ人もいるでしょう。でも、わたしは、深夜。
わたしにとっての深夜のカレーの象徴は、旧日テレ脇の24時間営業だった頃のアジャンタ、職安通りのガード脇のグレートインディア。今も深夜営業を頑張る文化女子大脇のパトワール。
そしてここパピーなのです。