おいしいのは当然なんであるよ。わたしが惚れ込んで長く通っているくらいの味なのだからね。
カレーですよ。
どれくらい通ってるのかなあ。西荻窪に住んでた時に吉祥寺のあの地下のお店にもいってたし、なんだかんだで15年じゃなきかないかな。
でもね、それがメイン、味とかがメインではないんです。もちろん味の味が大好きなんだけど、額に汗してそれを作ってくれてるカーンさん。その笑顔をもらってこその
「パトワール」
なのであるよ。
この夜は驚きました。深夜23時で満員御礼。ええ、そんなことあるのか。すごいなあ。
カウンターだけの、けっして広いお店じゃないんだけど、そのカウンターがみっちりと若いお客で埋まっていました。おもしろい時間の満員だ。若者が大きなバンに乗ってやってきてわーっと入ってきた感じです。カーンさんひとりなんですが、それでも笑顔でどんどん注文をこなしています。
そーっとお弁当受付の小窓から声をかけるといつものビッグスマイルが返ってきます。
「ちょっと待っててね」というと他の料理と並行してわたしのお弁当もさっさと作り始めてくれます。ちょっとするとちっとも待たずにお弁当、出来上がり。サービスで出してくれた温かいチャイを飲み終えると同時にお弁当が手渡されました。さすが!
混雑もオーダーもありで、おしゃべりするのはちょいと憚られます。なのでそそくさとお店を離れました。やっぱりカーンさんの顔を少しでもみられると元気がもらえるなあ。寄ってよかったよ。
部屋に帰って深夜一人、カーンさんのカレーを食べます。じわりとおいしくて、なぜだか涙が出そうになるのです。
それは多分歳をとったから。人の優しさがわかるようになったから。