外房あたりにいると、その場所が白子だろうが千倉であろうがやっぱり最後に鴨川に行きたくなるんですよ。これは仕方がない。
カレーですよ。
外房、銚子にちょいとおもしろいタイ料理カルチャーがあって、わりと単調でわたしが目当てとするレストランが少ない九十九里が続いて。一宮、大原あたりで少し町場に気になる店があって。砂浜を離れて勝浦あたりになるとちょいちょいおもしろいお店も。
で、鴨川には、
「ライバック」
があるわけです。
夜遅くまでやっているわけではないんですが、いきあたりばったりなわたしとしては珍しく、お店の閉まる時間を把握なんかして動いたりするわけです。この日も閉店1時間前にすべりこむことに成功。うれしさ込み上げます。
さてライバック。細々ですけど通い続けております。ひとつづつメニューを確かめるようにいろいろな注文を試しているよ。この夜はちょっとあとまわしになっていたこの店の名物、
「オムカレー」
としました。これか出色の出来なのであるよ。
サラダとスープも抜かりなく注文。このふたつも良いものなのでまちいがいなく注文。頼まないと結構な後悔が残るのです。帰り道、すごく悲しいのです。ゆめゆめ忘れるべからず(自戒的に)。
まずサラダ。ドレッシングの酸味風味、これはマスタードやディルからでありましょうか、個性のある味に仕上がっていて、その系統がインド料理でも日本のものでもないことを知るわけです。ヨーロッパ的というのかしらね。ホテルレストランの血を感じるところです。
スープはミネストローネ。これもいま一度書くけど必ず頼まねばいけないもの。野菜がとにかくたっぷりで滋味深く、素材からの旨みが幸せすぎる味を底支えしています。ああ、これは幸せな味だなあ。サラダ、スープ共に手間がかかっているのが強く伝わってきます。
カレー、やはりいい。いいなあ。
度々思うのが「尊いものである」という感想。品格という言葉で表せると思います。そういうものを感じさせるんですよ。西洋料理のソースを作る手法、西洋レストラン料理の「ソース」のポジションにあたる作りなのではないかしら、といつも感じます。「ごはんにかける」のがカレーライスなら「皿に敷く」スタイルはやはり西洋料理のソースの作法でよかろうね。
それで、そうなればオムレツもおのず期待してしまうわけです。期待通りかそれ以上のものが出てきてやはり、とニンマリ。
店はシェフと息子さん二人でやってらっしゃるようなんですが、この夜は息子さんのみカウンターに立っていました。不安なく遜色なくのひと皿をいただくことができたよ。
お父様はニューオータニに40年もいらっしゃった方なのだとか。そういう場所から続く丁寧な仕事や味の向いている方向など、いろいろといちいち合点がいくんです。それがよいかたちで受け継がれているのは、またうれしくてじわりと満足感がやってくるわけです。
最後に一言。安すぎる。(うれしいけど)