カレーですよ5382(吉野家 「SPICY CURRY 魯珈」齋藤店主監修 肉だく牛魯珈カレー)すごいなこれ。この味が吉野家のカウンターで?!

すごいのがきたよ新春早々驚かされました。やるなあ、齋藤店主。

 

 

カレーですよ。

 

 

大久保「SPICY CURRY 魯珈」はいまや押しも押されぬ日本のトップオブカレーレストランになりました。それもこれも齋藤店主の持ち前のキャラクター。前向きで向上することを止めない姿勢ときちんとお客に向き合う日々の丁寧な営業の賜物だととらえています。一度でも行ったほうがいいと思うよ、大久保の「SPICY CURRY 魯珈」。

早朝に行列、記帳して一旦離れて予約が取れた時間を待って、とかなりハードルが高いわけですが、しかしそれが当たり前になって何年も続いているというのは品質、味の確かさと齋藤店主の丁寧な客とのやり取りで、いってみれば客の教育がうまくできているということだと考えます。こういう言い方が嫌いな人も多いと思いますが、しかし文字の通り。

それで。

1月16日11時スタート、全国の「吉野家」で「SPICY CURRY 魯珈」齋藤店主監修、

 

「牛魯珈カレー」

 

の提供が始まったわけです。驚いたなあ。あ、慌てずとも4月末までの期間限定販売ということなので落ち着いてね。しかしこれが落ち着いていられるか、というわけで吉野家へ急いだのです。

いつも何度もついつい発言してしまうアレ。「吉野家、カレーヘタクソ!」(本当にすいません)いや、よくなってるんだよね、少しづつ進化してきている。それも事実。ただどうも打ち出したいイメージと製品のギャップが大きくて。

毎回リニューアルや期間限定で「スパイシー!」と銘打ってカレーを出すんだけど、世間のスパイシーよりだいぶん低いところにもってくるんです。多分吉野家基準、和食、牛丼からのニュートラルラインを踏まえてだと思うんですが、それだと現代ではちょっと印象が薄かったり「ぜんぜんスパイシーじゃないなあ」という意見が出てしまうわけです。満足感が低くなる。

わたしも含めて外食に費やすお金を多く取れない現代人はファストフードだといっても外食であり、ケではなくハレを求めるんじゃないかなあ、とかなんとか色々考えちゃうわけです。そういうところで吉野家は良い意味で不器用なんじゃないかなあ、と勘ぐっています。本業、本筋の牛丼はその完成された味と世界観など他店の追随を許さない素晴らしいものだからね。

で、それ以外ですこし色気を出して投入されるメニューがどうもこう、もうひとつ響かないのよ。というよりも、牛丼が極めて良いものとなっているためにそれと比較されると弱いということかもしれないな。あまりにも牛丼が素晴らしすぎるのです。だいすきです、吉野家の牛丼。

それでトライアンドエラーを続け「ベジスパイシーカレー」なんてわりとイイ感じのが出てきたり「カリガリ」監修なんてのも出してみたり。今回わたし的には「どこがこのスゲエカードを切るか」そういう思いがあったんですよね。そうか、吉野家か。そうかあ。吉野家が魯珈、いくかあ。

 

プレスリリースを見ると基本は「「牛丼」の牛煮肉に合うカレー」がコンセプト。さもありなん、ね。そしてそうか、いわゆる「アタマ」の正式名称は「牛煮肉」っていうのか。そんなところに感心しつつ、コラボレーションという形で魯珈・齋藤店主監修メニューの

 

「牛魯珈カレー」

 

が形になったわけです。プレスリリースはかなりの熱量なので読んでみるといいよ。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000382.000019432.html

 

で、わたしの感想。イイ。これイイと思う。うまい。発売日に早速食べました。齋藤店主の言うがままに(プレスリリースより/笑)オススメの、

 

「肉だく牛魯珈カレー」

 

としました。

 

さあ、初見の印象。

「あれっ?これヤバい。ちゃんとカルダモンとかクローブの香りがくる。スゲー。うめーこれ。」

というもの。そして

「ヨシギュービーフと合わねえ(笑)」

いや、違うの。

先ほど書いた通り吉野家の牛丼の具は大変良いものだと思っています。牛丼各社の味付けの中で1番バランスが取れており、流れとして和風を感じさせるものであると感じています。きちっと個性があり食べれば吉野家の味だと明確にわかるのが素晴らしい。そういう個性を持っているいいもので、営業上、オペレーション上仕方がないとは思うんですが牛丼の具とカレー、合わせねば話が前に進まないわけですよ。それで今回のこのカレーがまた個性的で非常にうまいので、合わせてしまうのは惜しいと感じてしまったんです。とはいえ合わせてしまえばなかなかに悪くないんだよな。合わせるんだったらよく混ぜたほうがよかろうと感じます。よーくまぜて馴染ませてね。

カレーソース自体はとろりな粘度。カルダモン、クローブなど強く辛さもきちんとありますが、これがいい感じなのが喉を焼かない、チリ辛いのとは違う方向の辛さで大変に好ましいんです。いやよくできてるなあ。

見てくれはシンプルそのもの。いわゆるカレーライスという体です。これでいいとおもう。なにしろ吉野家のカウンターで出てくるのだからね。あまりいろいろ凝っていたり、付け合わせなどで派手になったりするのは違うと思うんです、あの場所では。だってここは吉野家だから。

しかし。

この味は本物だな。斉藤店主が監修を手がけたこれ。わたしがちっとも魯珈に行けてないと言うところもあるんですが、どうもこの味、エチオピアを思い出すんだよね。齋藤店主も大好きで通うあそこの味にも似る気がするの。そんな感もありながら、まあとにかくこのカレー、大変においしい。上出来と言っても良い。で、そんな想像なんかもできておもしろいです。

間違ってはいけないのが魯珈のカレーではないということ。吉野家と齋藤店主が新しいカレーを作り上げた、そう認識して欲しいです。魯珈は別のものだしすごいおいしいし、だから一度行ったほうがいい。吉野家じゃなくてさ。

そして吉野家がここまで頑張ったと言うのは間違いなく称賛に値するし、展開が始まったカレー専門店の新業態「もう〜とりこ」と並べて魯珈の斉藤店主監修のカレーを当ててきたと言うのは、吉野家のカレーの革新ではないだろうか。そうおもいます。ああ、そうだ。コストやらなんやらあると思うけど、このカレーソース、4月が終わったら浅草の「もう〜とりこ」に持っていって暫定定番にしちゃうといいんじゃないかしら。

この日が初日。成功するかしないかはこれからですが、吉野家という外食インフラのテーブルにこの味が登るというのはかなり面白いことです。日本人のスパイスへの感覚が変わり始めているのを強く感じます。

 

吉野家のカレーは、変わったな。