神田紺屋町の地下の店、「インデラ」は先会計。注文をしてカレーがやってきたらその場でマダムに支払いをするのです。もちろん現金。
カレーですよ。
いつものように階段を降りて、、、じゃなくてもう扉を開けて階段を降りようとすると店内の常連さんの顔が見えます。この感じ好きなんだよな。席に着いてすぐに注文。何しろ2種類しかないからね。
千円札を出して帰ってきたのはお釣りと小さな箱。あらなにかしら。
「おやこれ、なんですか?」とマダムに聞くと「55周年の記念品なのよ、持ってってね」と返ってきました。「おやそれはおめでたい、55年ってのはたいしたもんだなあ」などマダムと喋りながら水引の印刷された箱を開くと大きめの爪切りが入っていました。柄には黒いプラスティックに「2025年 55周年 インデラ」とあります。
いいねえ、爪切り、というのがいいではないですか。わたしも10年ほどギフト業界に身を置いたことがあるのでこの手のノベルティの膨大なジャンルや種類をわりと知っているつもりなのですが、これを選ぶマダムのセンスが実にいい。神田紺屋町の老舗のカレー店のノベルティに、実にふさわしいチョイスでありましょう。
「カレーの店 インデラ」
でマダムにいただいたこれは縁起物であるぞ。大変にうれしいです。久しぶりに立ち寄ったというのにこんな素敵なものをいただいてしまって恐縮至極。さて、うれしいまんまでカレーの時間ですよ。
カレーはハードの普通盛りとしました。例によってマダムがテーブルのガラス小鉢を目の前に集めてくれます。「残り物でごめんねえ」などおっしゃるがとんでもない。薬味、箸休めでこの驚きの種類なぞありがたくて涙が出るぞ。
とにかくいろいろあります。漬物類は当然として煮物和え物まであり、わたしなぞうれしくなってカレーを食べずにこんにゃくの煮物ばかり突いてしまう。いかんいかん、カレーを食べねば始まらないぞ。
カレーは黒く、濃く、苦味が強いもの。焙煎とコゲのギリギリを狙って着地させてあります。ちょっと神田神保町の共栄堂なども思い出す味。そんな言い方もできるかもね。あれよりももう少し庶民寄りと言うか、マダムの感覚が反映されていると思うのです。それがいいのよね。
ともすれば焦げっぽいという輩もいるやも知れません。いや、ちがうなそれは。これを上手くいなして楽しむのです。そういう楽しみを知っているかいないかであなたの舌と工夫のスキルが試されるわけです。お店の価値は変わらない、あなたの価値が問われる。そういうことです。
わたしはお気に入りのこんにゃくの甘い煮物をアテにしながらカレーを食べます。蓮根もいいよなあ。甘めの薬味や煮物を合わせると不思議なフィットが得られるのです。これはいいねえ。つい白ごはんと煮物だけで食べたくもなるんですが、そこはカレーが主役なので控えめに。しかしどのつけ合わせもなかなかいいのよ。楽しさってものがあるなあ。
あれだ、インド料理の作法に似ているのかも、これ。色々な副菜や漬物で自分が好みの味にして食べるわけです。あれと似ているよ。と、言うよりも、そう言う文化はもちろん日本にもあって、そう言うところは結局遠く離れた国でも一緒なのだな、と思ったりするんです。
爪切りを懐にいれてマダムにごちそうさまと記念品ありがとうございましたを伝えて階段を駆け上がります。ここから3〜4分でスタジオです。
とてもよいランチだったな。