桃長者。毎年7月は桃長者なのです。毎年恒例。
カレーですよ。
7月は山梨の桃の季節。ひと月の間、暇を見ては毎年山梨に足を伸ばして桃を大量に確保しているんですよ。「はね桃」といわれるものです。
山梨勝沼の懇意にしている桃農家さん、無人販売店、共選所をがっちりまわってまずは50個。加工用の桃ひと箱(10個くらい入ってた)で500円とかね。もう楽しくて仕方ないのです。完熟でぐずぐずなんだけどとんでもなく甘くてね。たしかにこれは流通には乗せられなかろうなあ。桃の形をかろうじて保っている甘く幸せなかたまり、みたいなやつだもんな。これでジュースなど作るわけです。ああ、至福。
そんな欲望丸出しの桃確保の時間を過ごしてのランチタイム。良い店に巡り合ったのです。そのレストランは葡萄畑の真ん中に位置していました。
「木の宮食堂」
地図で見たら近隣に木の宮神社という神社がありました。だから「木の宮食堂」なんだね。一軒家レストランでちょっといい雰囲気なのです。
洒落た民家という感じでしょうか。木を多用して気持ちいい空間をつくっています。テラスはわんちゃんオーケーらしいよ。
メニューは洋食。カレーもあったぞ。
「バターチキンカレー」
としてみます。バターチキンカレーですが、多分バターチキンカレーは出てこないんじゃないかなとなんとなく想像していました。あ、やっぱりだ。
バターチキンカレーとはなんぞや。そういう話しがあります。バターチキンは日本人にその名前を強く記憶され、いまは多くの人がいわゆるインネパ・バターチキンをイメージするようになっています。インドのムルグマカニなどとは遠く極北にあるのが現在。我々にとってバターチキンはすでに独り歩き「ニッポンノバターチキン」というようなものになった、というわけです。食べ物は往々にしてそういう道を歩くことがあります。
で、これはインネパ・バターチキンを越える「ニッポンのバターチキン」であったのよ。バターの香る鶏肉煮込みでブラウンシチューにほど近い感があります。とてもおいしいんだこれ。あのオレンジ色の甘辛とは違う世界にあるカレーです。これでいいぞ、だっておいしいから。カレーの具材として入るじゃがいも、にんじん、なすなどがね、実に美味しい。自家製の薄くスライスしたポテトチップスまでみんな美味しいのです。
そしてこのカレーもさることながら、料理、どれも素晴らしいのですよ。
サラダもいい。きちんとレタスがしゃっきりしています。ポテトサラダが面白いよ。美しい紫陽花色をしていました。原種のじゃがいもでありましょう。風味にも個性が感じられます。味噌汁はけんちん汁。麦味噌かなこれは、優しい味だったよ。
特筆はごはん。白メシに雑穀米も選べるんですが梅ひじきごはんという選択肢があるのです。これもう実に旨いんだ。カレーと合うかどうかは人それぞれ。わたしはカレーはシチューとしていただいてご飯と別にしてみたよ。
どの料理もきちんと行き届いた感があり、農家レストランを名乗るだけある内容でありました。無農薬の朝採れやさいなどを使用し、市場に出回らない自家農園の少量栽培の野菜や果物も積極的に活用するというスタイル。なるほどいろいろと納得がいくなあ。
快適な店内やテラスもいいし、親切にしてくださるお店の方の雰囲気も良かったよ。これは早々にまた出かけていかねばいけないな。さいわい桃の季節はまだひと月ほどあるからね。
桃を買い求めがてらまたここに来よう。