カレーですよ5516(愛川町半原/宮ヶ瀬湖 ヤマノカミ)山ノ神が住む水辺。

たまたま見つけたのです、スペシャルな場所。偶然でありました。いや、ご縁かこれは。

 

 

カレーですよ。

 

 

わたしはご存知の通り、ひとりでふらりとクルマに乗ってで山に入ることが多いんです。それこそ里山程度、村の裏山程度から集落がぼちぼちなくなる標高1500mほどのあたりまで、クルマで入れる道があれば上がってゆきます。そこでお茶を点てたりぼーっとしたり。

そんな中、神奈川県の宮ヶ瀬湖のそば中津川の辺りに見つけたお店がありました。宮ヶ瀬湖、津久井湖周辺は通りかかることもあったが入り込んで探索などしたことがなかったんだよな。たまたま友人が近くにある山間のカフェで写真展を開くと聞いて尋ねていったんです。その行き帰りのこと。

きっかけは橋の上から見た寺院。どうもニッポンの神社仏閣とは違う様子があったのですよ。が、寺院というのはどこの国でもそれとわかる形をしているのも然り。こういうのは見逃せないわたしなのです。果たしてそれはベトナム仏教の寺院。驚いたなあ。こんな山の中、川のほとりにねえ。

近隣には「在日本ラオス文化センター」に「カンボジア文化センター」という名前の施設も。いやなんか興味深い。調べるとタイ寺院もあるようです。緑濃い山里に何故かアジアのコミュニティが垣間見える。なんだろう愛川町。これは掘らないといけないぞ。それで、ベトナム寺院の駐車場を案内する看板の横に

 

「ヤマノカミ」

 

という看板を見つけたんです。いったいこれはなんなのか。なにしろお寺の看板の横に「ヤマノカミ」ときたひにゃあ気になって仕方がない。これはしょうがないよね。引っ張られるように看板の方へ入っていくと、そこはカフェのようでした。

いいお店だったんです。入ってすぐにいい予感がしました。

まずホールの女性が感じがいいんです。建物に入ってくる光がいいしね。気持ちのいい空間です。よさそうだなあ。熊の剥製、こわいなあ。

その女性が1階と2階、それにテラスがありますよ、お好きな席へどうぞ、と言ってくれて。では、と2階を所望してみましたよ。これが正解、大変快適な席だったのです。いや本当に驚いた。だって、この状態。長居の予感がします。あ、長居決め込んだらちゃんと追加の注文とかするからね。

メニューにはターリに乗ったカレーやビリヤニなどインド料理が並びます。そのなかでオリジナルのスープをフィーチャーしたセット、

 

「スープセット」

 

が気になって、これを注文。当たりを引いたなあ。

まずこれ、ナーンの表記になっているんですが、この膨らみ方はこれはバトゥラではないかしら、と思ったんですよ。それくらい膨らんでる。ナーン生地の発酵揚げパンです、バトゥラ。とはいえ揚げた感じがないのでこの店のオリジナルのパン、ということだよな。とにかく大変に美味しいんですよ。

インドパンという小さい括りじゃなくてパンとして美味しいと思う。

これはいいもの。名前はなんでもいいの。美味しいから。

 

マトンカレー

 

カレーを選べます。4種ある中から辛口のマトンカレーを選んだよ。ちゃんとマトンの野趣があって好ましいのですが、かといって獣くささはなくて上手な調整。そしてがちっと容赦なく辛くしているのも好感が持てます。苦味が後味に少し残り、そこから爽やかさを感じさせてくれる秀逸なものでした。これは巧みな味だわ。

きゅうりとナスのサブジ、だろうかね。いや、違うぞ。これはラタトゥイユだよ。ついついカレー脳の人間はこのザマであるよ。これ、とてもいいです。シンプルなトマト炒め煮といった体ですね。このサブジだけでとても価値があるなあ。いや、またサブジと言ってるな。はじめの感想で「サブジだがちょいとイタリアン入ってる感じなのもいい。あまりスパイススパイスさせていないから」とか書いていたんだよ。違うって。イタリアンなの。ラタトゥイユであるぞ。

スープは「新たまねぎと新にんにくのスープ」とありました。これがすごくいいんです。たまらなかったよ。甘く優しく玉ねぎの旨み濃く。水筒に入れかえて道すがらの度々に飲みたい、みたいな妄想。道中のお弁当はこれと塩むすびだげでいいかもしれない。そういうのよさそう。クルトンがわりにパパドをくだいて入れます。いい感じ。

やはりわたしは煮込み料理が好きなのです。カレーという範囲を越えて好きなのだよねえ、再認識します。

コーンブレッドもいい。いいなあ、ぜんぶいいぞ。

 

美味しい料理に夢中になっている中、ふと目を挙げると眼下には中津川の流れとその奥の森の緑が目に心地よいのです。気分がいいなあ。湿度温度などなかなかに厳しい昨今の日本の夏でありますが、エアコンディショニングで快適な窓辺のカウンターからこの風景を眺めるというのはなんとも贅沢なものです。自然派のあなたにはエアコンなしのテラス席の用意もあるよ。

うむーう。天国のような場所を見つけてしまったな。また来ないとだな。次はビリヤニいってみるかな。