糸力、大好きなんであるよ。糸井重里氏云々はともかくとして、そういうの関係なしにただもう旨いわけです。そしてこのチューニングは唯一無二のものと感じるんです。
カレーですよ。
別件で河口湖、富士スバルライン方面へでかけてきました。中央道を走っているとわたはんちゃん(勝手にそう呼んでいる。正式名称わたぴー)の高速バスが走ってるところによく出会います。自分も山梨に向かってるねえ、という感じがします。
用事ってのは8月ひと月だけ扉が開く「河口湖自動車博物館」をのぞくこと。お昼ごはんの「糸力」のカレーのあとにたっぷり楽しみました。とにかく河口湖とか富士吉田あたりにいくと気になって仕方がないわけです。
「糸力」
はそんなお店。そわそわします。時間やタイミングさえ合えば結局お店を訪ねて行くわけです。ランチタイムちょいと前に滑り込むとお客さんはひと組だけ。よしよし、と空のカウンターに座って注文をいたしましょう。
どうしよっかな。それじゃあ、
「マドラスカレー」
としてみましょうか。
あとで気がついたんですが、少し前に食べに行った千葉・鎌ヶ谷大仏の「カレー屋けんちゃん」でも同名のカレーを注文していたよなあ。まったくの偶然であるし、味も何も、関連性はないと思うのですが。
その「マドラスカレー」というやつが実にいいんだな。コリアンダーの香り弾ける爽やかなカレーです。青々しく香るスパイスとそれを受け止めるタマネギの旨み甘みも強く、とてもふくよかでね。さらさらとしたクリアな良いカレーソース。やはりこれは未だ、唯一無二。もう少し言うと、誤解を恐れず言いますが、いい意味で「少し薄い」のであるよ。
勘違いしないで欲しいのだけど、薄いといってもいわゆる「カレーライス」として、です。どうもカレーライスは未だ「濃くて強くてどろりで辛いもの」というイメージを引きずる人が多いんだよな。で、さらさらカレーも上野のデリーとか、スープカレーとかインド料理で粘度を濃くしないタイプのものとかあるんだけれど、それとはまた違う和食の寸止めの妙とでも例えるべきでありましょうか。他にないという感覚があります。
口中と鼻の奥で感じるスパイス感の標準とか平均から5倍くらい多い要素でどっと来るような流行のスパイスカレーともちがう、的確な落とし所でふわりと効く感じがこのお店「糸力」の美しきカレーの個性。さらっと軽いのが信条であると感じます。繊細で実に旨い。甘みを土台にしてあるのも好みです。
居酒屋というスタイルで、宮下店主の趣味もあるでしょうがしかし、カレーだけで7種作り分けているというのは大した力の入れようです。伊達に「横濱カレーミュージアム」出店経験を持っているわけではないよなあ。経験と実力感じる味。
それにもまして壁の短冊に書かれた日本酒の種類たるや。つまみも良いもの多く骨太な地元居酒屋のリラックスある空気がとても気分がいいんです。なのにこのカレーのレベル。いやあ、たのしい。そのギャップも心地いいものです。
気がつけば席は七割方埋まっていました。おお、おお、さすがの人気だね。近所のサラリーマンや工務店の人足など雑多な客で賑わっています。カレーの人もいるけれど定食の人が多いかな。外に出れば駐車場を待つクルマまでいるじゃないの。
さっさと車室を空けて差し上げるとしましょう。