カレーですよ5573(水戸南 タイ料理専門店 ロッディー)ロードサイド。

異常なものが出てきたのであるよ。ラーメンどんぶりであるぞ。「なんだ、これは。」思わず岡本太郎の口調になってる自分がいました。これ、おかしくないか。ここは岡本太郎でもなんとか二郎でもなくてタイ料理店のはず。

 

 

カレーですよ。

 

 

水戸にいました。クルマで寄り道をしながらダラダラと走ってたどり着いたので水戸感は薄いんだけどね、自分の中では。水戸を目指してきたわけではなかったのです。あてなくぶらり、いつもどおりであるよ。

例によってなんとなくあっちの方に行くか的なぼんやりした感覚でクルマを走らせます。本当にいつもそうなんですが、毎度目的地はないんです。満足できる分ガソリンを減らしてタイヤをすり減らしてやることがわたしにとってストレスを少しだけマシなものにしてくれる行為。

甚だエコロジカルではないんですがそのなかからちょっとだけアイディアやひらめきをもらっては文章を紡ぎます。そういう毎日です。で、通りがかりのカレー屋などに入るわけです。まったくもって20年以上、同じことを繰り返しているなあ。馬鹿みたいでありますが、そういう中から見えてくるものもある、ということです。

街灯のない夜の国道6号線沿い。けっこうな高さの柱のような看板にタイ語のロゴを見つけて咄嗟にウィンカーを出しました。

通りかかりもいいところ。いつもこんな風だよ。

 

「タイ料理専門店 ロッディー」

 

と屋号があります。関東外郭のロードサイドにこういうお店がいくつもあるんですが、以前ほど元気がない感じがあります。国道、バイパス、街道筋のロードサイドは派手な看板の大手チェーンがしのぎを削っており、こういうお店はちょいと目立たなくなってきてしましました。どっこいそれでも地域の外国人コミュニティのハブ、クラブハウス的に生きながらえているお店もあります。大手チェーンではそういうものにはなり得ないからね。

さて、お店に入ります。ご夫婦でありましょうか、タイ人のお2人が食事をしたり新聞を読んだりしていました。「いいですか?」と聞くと「どうぞどうぞ」と返ってきたよ。入口はちょいと薄暗く、レジと厨房のデイル口、それにお店のおふたりが座っていたイス、テーブルが置いてあります。奥に引き戸があってそちらがホールの様子。こっちは明るくしてありました。

ボックスシートがひとつにテーブルが5席ほど。20人ほどのキャパシティ、かな。シャンデリアと大型テレビモニターが鎮座していてちょっとタイカラオケとかできそうな雰囲気です。そうそう、こういう空間、知っているぞ。千葉の銚子とか旭とかの方面にこういう空気のお店がぽつぽつとあるんだよね。このホールのモニターの下の布がかかっている棚には本当にカラオケ機材があるのではないかしら。

 

さておき、注文。

うん、これ、メニューも知ってる感じ。むかしはこういうお店はんでだか全メニュー通しで1000円均一とかいう値付けだったよなあ。カオマンガイもヤムウンセンもヤムマクワもゲーンペッも全部1000円。乱暴であるな。どうなってるんだと頼むと原価の安いメニュー、手間のかからないメニューは山ほど出てきて辟易するのよ。それはつまり量で値段によせる感じ。久しぶりだな、こういう感じ。流石に1000円ではなかったけど。いやでもまだまだ1000円のメニューがたくさんあって色々思うところがあります。楽しいな。

では。パネーンと迷ったけど、

 

「ゲーンペッとカオ」

 

ください。だいたいごはんは別になっているのでごはん注文しました。

出てきたものを見て声を失ったんだよ。「あ、ありのまま 今 起こったことを話すぜ!」と彼の人になってしまうあたし。岡本太郎になったりと今夜は忙しいな。

「おれはゲーンペッを頼んだと思ったらいつのまにかラーメンどんぶりが来ていた。な、なにを言っているのかわからねーと思うがおれもなにをされたのかわからなかった。頭がどうにかなりそうだった。レトルトとかインスタントとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ」

とまあ、書きたかったから書いてみました。もうちょっと書くとラーメンどんぶりはゲーンで満たされ、当然ながら具材も入っているわけですがそれもものすごい量で、スープ部分をすすって行くと「池の水ぜんぶ抜く大作戦」みたいな状態に。いやはやもう大変であるよ。

味は不可もなく、日本におけるタイ料理クラシックな感じ、と表現できそうです。ペッであるんですがあまり辛くなかったよ。選択の果てにこの地ではこの味なのだろうなあ。そういうところを考えながら食べるのが面白かったりします。とはいえしっかりスズメナスだホーラーパーだと入っていて賑やかで悪くない。途中でプリックナンプラーを所望。「辛いから気をつけてね」とタイのお母さん。なんだかうれしいなこういうの。

 

ようするに昔からそっと続く地方の食堂が一部メディアの注目で光を浴びる昨今でありますが、あそこに取り上げられるような食堂と根幹がとても似ていると感じます。ただそれが食堂とか洋食店ではなく、タイ料理店であるということ。小さいけどちゃんとお店の人とのやりとりがあって、それがどうも頭に残って。だからまた通ったりして。そういうものから居心地がいいなあ、と感じて記憶に残ります。

そういう夜だったな。