カレーですよ5581(千葉山武市 アカフレストラン)峠のスリランカメシ。

わりと千葉県内で多い気がしているスタイル。山の途中や畑の真ん中にぽつりとカレー店。

 

 

カレーですよ。

 

 

正確にはカレー店ではなくタイやパキスタン、スリランカなどのレストラン、キャンティーンですね。そういうお店が千葉の山には多いと感じます。山といっても細い2桁県道とかのちいさな峠越え区間みたいな場所。畑といっても耕作放棄地や人のいない集落跡など。それでもひと気のない場所に急に派手なお店があると毎度ながらびっくりします。そういうお店、通りかかりました。

ここは小さな峠の途中。民家らしき建物がポツポツあるんですが、あくまでポツポツという程度。腰下を大きめの石垣風にした意匠、いかにも元居酒屋という風情の建物を真っ青に塗り変えてありました。通りへ向けてのアピールの大きな写真看板の圧力がなかなかのもの。

近づいてみるとどうやらスリランカレストランの様子です。千葉は本当にスリランカの食堂・レストランが増えたと感じるよ。

 

「アカフレストラン」

 

という名前でした。

店前の駐車場にクルマを斜めに入れて(皆自由な感じで止めている)お店に入ります。なかなかにハードル高いぞ、と感じるんですよ。席はカウンターがあるけど使っていない様子。そのカウンターにホットフードのショーケースがあってパティスとか入っています。あとは小上がりしかないのか。では、とその6名席に腰を下ろします。

まずはここ、ホールにいるスリランカンの誰がお客で誰がお店の従業員かを見極める願力が必要であるぞ。確信までいかないけど多分この男か、と目星をつけたおじさんに注文。ところがなぜだかメニューを見せてくれない。えええ?なにそれ(笑)。彼が自分でメニュー(もちろん客用だぞ)を手に持ってそれを読み上げ、渡してくれずに手元で眺めているんです。これは前代未聞。いや、それ見せてよ(笑)。

たまりかねて席を立ちカウンターにある同様のメニューを手に取ろうと腰を浮かせました。すると彼は小さな声で「ビリヤニ、ライスアンカリー」と呟いています。んん?それが説明なのか、そうなのか?。ようするに今はその2つしか料理がないといっているのであろうと想像しました。ここらへんの理解度、解像能力はわたしのこういうシーンでの経験値によって支えられているわけです。ダテにカネと時間使ってないぞ。

さあ、俄然楽しくなってきます。こういう感じは久しぶりだなあ。そんじゃあ

 

「ライスアンカリー」

 

ください。

思うより素早く料理が出てきました。そうか、そうだね。スリランカ料理、作ってあるおかずを数種類、さっさと盛り付けて完成だからね。それがスタンダードです。品数多い料理をいちいちゼロスタートとかありえないわけです。それはいいよ、いいんだけどさ、この短時間でものすごいのがやってきちゃったんだよ。え?え?なんだこれ2人前か?あたしひとりなんだけど。おぼんが2枚やってきたのであるよ。どうなってるんだおーい。

そしてあっと気がつきます。わたし、メニューを見せてもらえてないじゃない。だからこのごはんの値段がわからない。わりとピンチかもしれない。いくらなんだこのゴージャスランチ、、、

 

すごいラインアップです。5種のおかずが乗ったごはんプレート。これと別にになんかデカい魚フライと飲み物までやってきたぞ。デカ盛りごはんんとおかずのあとからもう一枚おぼんがやってきたその衝撃たるや。しかもごはんがホントに山盛りだ。これはあれだよ、まごう事なき現地仕様。おかずの種類とメシの量で圧倒してくるスタイル。こりゃ大変だあ。

マトンカレー、辛いなあ。辛くて汗が出て旨いなあ。ビーツの煮込みもまあまあ良し。パリップは好みで言うとちょいと塩が欲しい感じかしら。混ぜて食べるための調整だと思いますがわたしはちょい塩足しで単体食べたいかな。まあ塩を貰えばいいんですが。

すこし酸っぱいタマネギの入ったジョール、これ好みだな。いいじゃない。なにに混ぜてもよさそうです。ナスじゃなくタマネギのモージュっぽいこれもおいしかった。なんだろな、これ。

ごはんの細かくてぱらぱらとした感じなぞあの時のレストランの賄いの記憶だねえ。スリランカ1ヶ月仕事のことを思い出します。牢獄のようだったな。「だからぁ!オレはいつでもメシはチュッタって言ってんだろ!!」とキレたくなります。あっといかんいかん、ここはあの仕事場ではないのだったよ。

そして2枚目のおぼん。おさかな。ぷっくりまるまるでいち尾まるごとか。丸ごとフライだね。大変なことであるぞ。なにも千葉だからってこんなにでかいアジをださんでも。ちがう意味でアジフライだねこれは。千葉名産な感じです。ご当地グルメ、こういうアプローチもいいかも知んない。

いい意味でもそうじゃない意味でも、どの料理も現地丸出しでね、レストランじゃなくてキャンティーンの味。たまらないなあ。

味がたまらないんじゃなくて風情の方ね。

で、だよ。支払いであるよ。いったいいくら請求されるのか。ビクビクしながら会計を頼むと電卓で見せられた金額は、1000円!!!なんということだ。あの大ボリュームが1000円か。江戸川を渡ったらら1500円、隅田川の向こうであれば2000円くらいにはなろうものですよあれは。きっとあの土地のコミュニティのための価格なのだねえ。そうに違いない。

正直すごい旨いってもんではないよ。でもなぜか心が穏やかになってくるんです。なんだろね、そう、これだよな、という感。彼の地ではこんなだったもの。そういう記憶。彼の地でのひと月の暮らしの記憶。美食を求める人には特別おすすめしないよ。そういうことではないからね。

旅を求めるひと、タビビトマインドがある貴兄なら何かを感じるはず。

そういうお店がわたしは好きなのです。