幡ヶ谷は、悩ましい。いつ駅を降りたっても悩ましいのだ。なかなか選べない。大好きな店が集中してしまっている。
カレーですよ。
ほんとうに甲乙つけるという話ではまったくなくて、選べない。スパイス、カリヒオ、ウミネコカレー。隣の初台にはたんどーる。
これはなかなかツライ選択。選べなくなることもしばしばだ。
この夜はスパイスに行ったのだが、なんと売り切れ。口の中があのカレーになっておったのだが致し方なし。カリヒオの店主には数日後に会うことになっているし、たんどーるは平日夜なのでやっていない、と。
これだとひさしぶりに、
「ウミネコカレー」
に行けることになる。それもありがたい。ずいぶんご無沙汰だから。
とてもかわいい店なのだ。アートデレクションのレベルが高くてとてもセンスがいい。そう、きちんとアートデレクションが入っているのだ。素敵なイラストレーターさんが入り口や店内ドア上の壁のウミネコの絵、あの大好きな、もとの店からこちらに運ばれたペナントやメニューなどポイントポイントにかわいいイラストレーションが配してある。かわいいのだが女の子っぽくなっていないバランスがまた素晴らしい。
さて、カレー。
改めて食べるとやはりいい。そして進化も感じられた。頼んだのは、
「2種盛りサラダセット」
やっぱりこれが一番。あの美味しいドレッシングがかかったサラダも食べたいし、古里さん渾身のカレー、1種類だとちとさみしい。選んだカレーはポークカレーとキーマカレー。
実はウミネコカレーの味、永福時代の味からここ幡ヶ谷に移転した時に大きく変わったのを覚えている。元々永福時代の古里さん自身が
「故郷の青森で店を開いても通用するような、ごはんに合うみんなが笑顔になるカレーです」
とおっしゃっていた。
都市部だけで勝負するのではないカレーを日本の食材で無理なく作るという場所に至ったのだと言う話しで心から納得がいく。それをより極めるためにエッヂを落とした味に調整しなおした感があった。
随分久しぶりになってしまっていたが、この夜食べたときに強く思ったのが「融和、融合」が深まったという感。
カレー2種、キーマに落とされた卵の黄身も、タマネギアチャールもキャベツの酢漬けも。食べるたび、口の中で合わさるたびにバランスというものを感じる。すべての味に何かリンクと理由があるなと感じてしまうのだ。混ぜ食べるとおいしいというやつ。以前食べた時よりもそれがより強くなったと感じる。すごくおもしろい。
それとともにエッヂの角が丸まった感が薄らぐ。理由あってこうなったというのがわかるからなのだろうか。
そしてサラダ。これは変わらない。変わってもらっては困る。笹塚、エムズの味を現代に伝える、あのドレッシングの味だ。
カレーもサラダもどちらも深く満足がいった。
久しぶりに思い出してしまった。わかっていたが、ウミネコカレー、いい店だ。
ああ、これでまた悩みがより深くなる。
さあ、次の笹塚幡ヶ谷で、どの店を選ぼうか。