うまくチャンスが作れずにいた店に行くことができた。念願の店。すごい場所にあった。
**カレーですよ。 **
とにかく遠かった。まずそれがあった。
真岡鐵道七井駅下車。徒歩、25分。この時点で気が遠くなる。真岡鐵道なに?となる。
Google mapで経路検索するともれなく新幹線の乗車を指示されて顎が落ちる。そのかわり真岡鐵道の代わりに宇都宮駅からバス乗車30分強が指示され、しかし下車した停留所から15分歩く。
「けらら」
という店だ。
いや、正直そういうのはすきなのだ。電車にずーっと乗って、知らない路線に乗り換えてまたずーっと乗って。とてもすきだけどあんまりそっちの趣味をやってると肝心のカレーになかなかありつけない。そこで、クルマ。
たどり着いた細い街道沿いのお店はとても雰囲気のある建物だった。引き戸を引いて入るというのもちょいといい気分だ。
店内も同じく落ち着いた空気で雰囲気がいい。メニューもシンプルな手書き。伝票もメモのようなスタイルで、なんだか好感が持てる。
さて、注文。ご店主が説明をしてくれた。やはり人気でもありおすすめでもある、
**「ミックスカレー(チキン&キーマ)」 **
に落ち着いた。
一人いた女性のお客さんが出入り口ではない方へ歩いて行って気がついたのだが、このお店、ちょっとおもしろい作りである。
お隣は手芸用品の店の様子。そこと建物がつながっている、ないしは同じ建物なのか、こちら「けらら」から「ハンズショップやまもと」に行き来できる様子なのだ。どうやら先ほど店主と仲良さそうに喋っていたおばさまはお隣の方らしい。
さて、カレーがやってきた。良い意味で今風ではない、クラシックな白のプレーンな食器で出てくるのが嬉しい。何か美学のようなものを感じる。
店主が運んでくださり、食べ方なぞも説明をしてくれる。チキンはさらさらなのでごはんをひたしたりスープ的に飲んだりがいいでしょう、とのこと。なるほどなるほど。アチャールはぜひカレーと混ぜて、と。そうですな。それがいい。それがすきだ。
チキンカレー
ぐいっと辛いのに辛さより旨味が前に出るチキンカレー。旨味の中にほんのり苦味があり、それがキレを作り出す。舌へのあたりが柔らかく、まさにスープとして飲んでも成立するバランスでとても好み。骨付きのチキンも大変おいしい。
キーマカレー
塩のエッヂがきちんと効いたキーマカレー。
クラシックなキーマカレーの味わいで、こちらも旨味が強いと感じる。キーママタールの程になっており、グリーンピースがクラシック感を強調する。
どちらもきちんとスパイス主張するものの、最近流行の、スパイスのいずれかひとつふたつをぐっと前に出すような形は取らず、きちんとバランスと融合というものがある。そんなところが歴史や成り立ちを感じさせる、良カレー。
この2つにタマネギのアチャールを添えたり混ぜたりで食べるわけだが、主張ということで言えばこの中でタマネギのアチャールが一番主張が強い。が、カレーと合わせると実にバランスよくおいしさがアップする。
店主とお話をしている中で「わたしもこのアチャールが好きで、自店のカレーを自分で食べる時にタマネギアチャールが切れていることがわかるとカレーを食べるのをやめるのだ」とおっしゃっていた。
うむ、さもありなん。このおいしいアチャールあってのけららのカレーたちなのだ。
美味しく、楽しい気持ちであったので食後にチャイもお願いをした。
たっぷり注がれたチャイを自分で砂糖をたくさん入れて、甘くして。ゆっくりと楽しんだ。
ほんとうは持ち帰りができるかどうかをうかがって、オーケーであればタマゴピラフを作ってもらおうかとも思ったのだが。ちょうどお客が途切れたタイミングのようで、店内にはわたしだけ。カウンターには店主がこれから食べると思しきお弁当が。それで、遠慮をしてみた。
欲しければ帰り道にもう一度立ち寄って作って貰えばいい。
立ち上がって、おいしかった旨を感謝とともにお伝えし、会計をお願いした。
なかなかほかに代替えしがたい雰囲気、空気が満ちた店だった。忘れがたい。