随分久しぶりになった飯能のお店。実はなんとブランチが渋谷にできて、驚かされました。しかし。
カレーですよ。
飯能、飯能川のほとり、崖を背にして建つレストランがあります。
建つと書きましたが、崖にその背中をもたれさせて、とでもいう言い方がぴったりくるんじゃないかな。
建屋を谷の面に沿わせて3階建て程の高さで作られた、ちょっとお城というか、ハイリゾートの隠れ家っぽいというか。そういう空気があるレストランがここ、
「カールヴァーン」
以前も一度来たことがあるちょっと特別な雰囲気のあるレストランです。
冒頭で書いたとおり、実は少し前にここのブランチが渋谷スクランブルスクウェアの12階にカールヴァーントウキョウの名前でオープンしていました。何度かのぞきにいってみたんですけどね。なかなかの人気でどうしても待ちが出てしまう。ご存知予約と行列が苦手なわたしはやはりここ、飯能の本店に戻ってきてしまう、というわけです。
あ、もちろん飯能の本店も人気店。予約はした方が確実。
さてここ、カールヴァーンは中東〜地中海料理のレストラン。しかしそんな一言で片付けられるような簡単な場所ではない、そう思っています。
ブリュワリーを持ちオリジナルレーベルのビールを持っています。
料理は中東、地中海沿岸料理から南アジアまでと幅広いレンジからチョイス。
インテリアはムスリムゴチックとでも呼べばいいんでしょうか。それともペルシアンモダン?いや、ヨーロッパ的でもあるかなあ。とにかくここではないどこか。そんな空気を醸成する力のあるもの。
ね、たくさんの要素が不思議なバランスを作り出しているんです。
旅、という言葉がぽろりとでてくるような空気感。そんなレストランです。
知っているのに放おっておくのはもったいない場所。覚えておいて大事な人を連れてきたくなる場所なのです。
料理は味もプレゼンテーションも気分の良いものが出てきます。
先回食事をした時も頼んだアラビアンプレート。
前菜で組み立てたターリ的なものでとても楽しいものです。
フムスとファラフェル、タブーリはレバノンから。ムハンマラはシリアから。ブサーラとオリーブのマリネはエジプトから。
なかなかどこの国の、と問われると出てこない中東料理がとりどり試すことができるこの楽しさは代えがたい。
また頼んでしまいました。
アラビアンアヒージョ。
唐辛子は辛さより風味を優先している感じ。トマトとパプリカの旨みが染みるキノコアヒージョです。
パンもちゃんとしてるおいしいものが添えられます。
ハリッサとガーリック使いで印象的な味に。いいね、これ。お酒にも合うね。
お魚のビリヤニ、面白かった。
水分量が多いので魚をくずして混ぜていくとビリヤニというよりパエリア的なしっとりした食感になるんだよね。
魚とごはん。日本人なら反応せずにおれないツボに突き刺さる大変おいしいお味。
パエリア、と言ったけどもう一度言い直しましょうか。魚の茶漬けや混ぜご飯に近いかもしれないよ、これは。そこにオリエンタルなスパイス使いを控えめで邪魔にならないバランス感で追加しています。
いやこれは素晴らしかった。
ここらへんでなんだか結構な満腹具合になってしまい、タイミングもあってゾロアスターカレーはキャンセルをさせてもらいました。ウェイターの方が「あとはゾロアスターカレーが注文で残っていますがどうされますか?」と親切に聞いてくださいました。心地の良いサービスです。
が、デザートはやはりいただこう。
アラビアンチーズケーキ。
思わず悲鳴を2回あげたやつ。
まずプレゼンテーションに驚かされて悲鳴が上がります。
パラパラと細かく散らされたバーミセリをもっと細くしたようなこれ。その中にチーズケーキが埋もれているんです。うん、うもれている感じ。
金属のプレートとともにエキゾチックな風情を作り出しています。
そして、濃厚とはこのことか、と言わんばかりの深く濃く上品な甘みのクリームチーズ。ここでもう一度悲鳴。
滑らかで口の中で舌をくねらせる快感というような、そういうエロティックな快楽と上品な甘さからくるしつこくならない軽さのようなもののバランスが面白くておいしくて仕方がない。おしりがむずむずします。
ああ、おいしい!
パフェも良かったよ。
パッションフルーツをふんだんに使い、アイスクリームも含めて爽やかで香り良く、料理の締めにもってこいだった。
クラフトビールとグルジアワインのマリアージュも上々。本当に楽しい食事になりました。
フロアの担当の方も優しく丁寧で、渋谷の店のスタッフの方がこちらにいたりして、その話なども楽しめたんです。渋谷、昨今の状況で行列なくお店は入りやすいみたい。なるほど耳寄り。
そしてここ飯能の本店は店が広く、新型コロナの蔓延の中でも安全と安心感があります。何しろ吹き抜けの広大な空間、天井の高さ、テーブル間の距離はもともとのもの。それをより安全に運用しています。
外食でこういう店のチョイスは今するべきでしょう。
この日は美女と連れだってのディナー。ちゃんと連れて行った人に安心と美味しいもの、両方を差し上げられる場所でした。
きちんとお金を出して、その分以上のものが帰ってくる良い店です。
遠いのは玉に瑕ですけど、実はそのことさえ楽しい時間への序章と感じられる、そんな場所。
わたしには珍しくディナーしか来たことがないんですよね。
次回、ランチを必ず。うん、必ず。