学芸大学駅にあるイタリアンバールであり、カンティーナ カーリカ・リの姉妹店でもあるあの立ち飲みのお店「あつあつ リ・カーリカ」。少し前にニッポンのナポリピッツァ・ゴッドファーザー、jjffaさんと訪れました。期間を限定してカレーを出しているという話しから。記事にも書きました。→ https://hapi3.net/20200606_curry/
カレーですよ。
食べたらまあ驚いた。きっちりインド由来のお作法でなおかつちゃんとご自分の方に引き寄せて良いものを提供していらっしゃる。感激しました。そして、そちらのランチカレーは一旦終了となりました。
しかし。
11月1日、同じく本拠地学芸大学の駅から少々離れた目黒通りの碑文谷界隈に出来た
「リ・カーリカ ランド」
はとても面白い取り組みのお店。ここにまたランチでカレーがあるという話しです。やはり情報はjaffaさんからもたらされました。お誘いをいただいて、一も二もなく学大駅へ。
店、お店と呼ぶのでしょうか。お店、レストランという狭い範囲に留まらない空間がここ、リ・カーリカ ランドなのです。
朝粥が用意される朝食の店であり、ランチカレーのあるレストランであり、夜は洒落ていてリラックスできるバールでもあるのですが、リ・カーリカグループを運営する株式会社タバッキのオフィスだったりラボでもあったりする場所なのです。不思議なレイアウトの店内を見ればラボという呼び名の理由がわかると思います。
キッチンとホールはシームレス。壁面に沿ってシンクや調理台が並び、それらと同じ高さで大テーブルにイスが並び、そのテーブルの上で店舗スタッフが料理の盛り付けをこなし、客は同じテーブルで食事をとる。なんとも面白い光景です。もちろん衛生面と安全面の担保は十分になされているのは当然。自由で、想像力が刺激されるレイアウトで思わずきょろきょろと見回してしまいます。
ちょっとだけ仕切られて、しかしスタッフの顔や姿が見えるオフィス機能のスペースもありました。物販のコーナーも同じ空間にレイアウトされています。物販、小さいけど中身の濃い素敵な内容です。すべての商品にストーリーとリンクがありました。シャンカール野口くんのとこのオーガニックスパイスもあったよ。
隅々まで非常に刺激的なレイアウト。そこから何かを生み出してやろうという気概が熱をもって伝わってきます。
さて、注文。ランチはこれのみの、
「発酵スパイスカレー」
食べた途端に思わず「これ、おもしろい」と口から言葉がこぼれてしまった。いや、もうおもしろいという他ないんですよ。もちろん、おいしい。おいしくておもしろい。
全体のイメージで言うと酸味が強めのスープかけごはん。これでファイナルアンサー。が、しかし。
食べれば食べるほど、混ぜれば混ぜるほどその表情を変えてゆく味わい、奥行き。すごく脳みそを刺激されます。知っているカレーとは、これは括りが違うみたいだぞ。
異常に美味しくて存在感の大きいビアザビオのペコリーノチーズは、しかしちゃんとソースと融合してバランスしています。そこにグンドゥチリトマトソースとくるわけですよ。グンドゥですよ、この洒落たモダンなお店で。ネパールの発酵食品です。自家製です。ああ、この知的興奮と舌的興奮のせめぎ合い。
極め付けは三福海苔の香味干し。これで、こんな意外な組み合わせで味の幅もバランスも色々なポイントでチューニングが合ってしまうという鮮やかさ。豆豉が使ってあったりドライ納豆に自家製グンドゥルックアチャールが乗っていたり。漬物はピクルスかと思いきや水キムチかあこれは。言われなければ気づかないかもしれないです。
和、伊、尼、韓と色々な要素が見え隠れ。そういうボーダーを軽々超えて発酵という軸で括って柱一本に完成させている、ということです。恐るべきセンスを感じます。
既存のイメージやボーダーにとらわれていると本当に面白いことは見つからない、そう思います。わたしも心がけているのですが改めてそれを思い知る味でした。
こういうものこそカレー「だけ」を食べている諸兄に体験願いたい、そう思います。そしてそういう体験を起点に韓や伊、和を体験しにも出かけるなどアクションにつながればとても価値があるはずです。
そこから現在のカレーという括りの食べ物の本当の俯瞰ができるようになってくるはずだと考えているのです。
いろいろよい刺激をもらいました。
堤さん、Jaffaさん、ありがとうございました。