神田の路地裏に小さな小さな間口でやっている持ち帰りビリヤニ専門店があります。ビリヤニ専門店と書きましたが、そういうスタイルになったのは最近で、その前まではイートイン可能のバングラスタイルカレーのお店だった様子。興味深いお店なのです。
カレーですよ。
現在はそういう業態で営業をしていらっしゃる様子です。
最近は岩本町での仕事が多く、午前中からの仕事となるとランチタイムには神田界隈を巡回します。そんな中で驚きのビリヤニ持ち帰り専門店という狭くも楽しい業態発見、でありました。
「ベンガルカレーファクトリー」
という屋号。もうそれだけでもおや!と思うわけです。それで、たどり着いてみればビリヤニ持ち帰り専門店。いやあ、こんなお店がこんなビルの谷間、隙間にあるとは驚いたよ。最近の東京はどうなってるんだ。
お店をのぞきます。狭い間口の入り口を棚で完全に出入りできぬ風にして、スタイリング。そこに楽しい引き出し式の料金の受け渡しボックスを装備、これ、アジア旅行でよく出くわす両替などのオールドスタイルだね。アクリルとかガラスの向こう側とこっち側でお金やブツをやり取りするわけです。
いやもうこれだけで気分がガッとアガります。
店主は日本人の方なんですよ。でもそれで油断しちゃいけない。ショップカードには自分の顔写真を入れるくらいの知識と体験を持ってらっしゃるわけですよ。(インド周辺国のレストランのショップカードや店頭看板にはよくオーナー本人の顔写真が入る)
濃いめの南アジア通であるとわかって俄然ますます楽しくなってきます。
メニューは1種のみ。
それて、このパッケージが実に秀逸なんですよ。現地さながらの洒落たパッケージやネットの袋が否が応でも気分を盛り上げます。ほら、この写真、みてください。このピンク色のネットの袋、こらがバングラデシュではスタンダードなお弁当の袋らしく、うかがうとわざわざ本国から持ってきたのもらしく。すごいなあ。
これをぶら下げて歩く楽しさといったらありません!
鶏の絵が大きく描かれたペーパーボックスも存在感がすごいんです。ホント、とてもいい。このお弁当箱のデザインでビリヤニの価値が何倍にもなっていると感じます。
この箱でお弁当の持ち帰り、うれしいもんなあ。
さて、スタジオに持ち帰り、ふたをあけます。改めてこの楽しいお弁当キットを再確認。
バングラデシュスタイルの油強め、刺激強めでマトンの香りたっぷりの野趣感じるマトンビリヤニ。小袋がついていてその中にはライム、グリーンチリ、きゅうりが入っています。
チリをかじりつつ辛さ調整、ライムを振りかけて味変、自由自在なわけです。ライムはコーラに入れてもいいよね。
そう、そしてコーラ。コーラが標準装備になっているんだよね。これがまた素晴らしい。ビリヤニ、こう来なくっちゃなわけですよ。やっぱりコーラだろ。しかもストロー付きで「わかってらっしゃる」感で楽しさトップギア、なんであります。
これ、輪ゴムの色。ここ、輪ゴムの色までこだわったよね。とんでもないよね、これは。
しかも食後のお茶キットまでついていて本当に抜かりがない。スプーンがプラの赤いやつなのもいい。全部いいなあ。世界観をこれだけお弁当で作り上げるのはすごいセンスを持ってなきゃ不可能です。言い切ります。不可能だよ、普通は。
見た目手強そうなマトンは実はクセが強くなく、きちんと存在感を見せつけつつ旨味強く優しい味わい。圧倒されるねこりゃ。おいしいです。
好みは分かれるかもしれないけど強く現地を意識させられる味で他に変え難い。良いものです。
しかしこれはすごいパッケージだねえ。1500円という値段ももともとどこでもわりと高価なビリヤニと、こだわりパッケージや付属アイテムの楽しさで相殺されて適価以上の価値観を感じられるはずです。
こんな楽しいものが神田の駅前の路地にあるなんて思いもよりませんでした。アジア系スキモノさんなんかへのお土産としても優秀でしょう。
これはやられた。おおいにやられました。
早めに改めて取材に行かなければいかんな。行きます。行こう。決めた。来月の連載記事に書かせてもらいたいです。