カレーですよ4350(秋葉原 スパイス・ラー麺 卍力 秋葉原店)やはりすごい。他では体験できないオリジナルスパイスラーメンの凄み。

最近御徒町あたりで用事など済ませると、時間があれば頻繁に岩本町まで歩いデジタルキッチンに立ち寄っている。いつだったかそうやって歩いているときに、昭和通り沿いに2軒ほど「食べたことあるけどこっちの場所の店には行ったことない店」を見つけた。折があったら寄ろうと思っていた。

カレーですよ

1軒は「カレーは飲み物。」ちょっとご無沙汰だ。あそこのカレーの設計と2ラインあるメニューの構成にはいつも感心する。よくできている。

それともう1店。こちらはラーメン店。わたしには珍しく、食べたいラーメンがあるラーメン店だ。ラーメン、あまり積極的に食べにいかないのだが、数店だけちょっと定期的に行きたくなる店がある。

「スパイス・ラー麺 卍力」

という。
ここのラーメン、なんとも不思議なものなのだ。

西葛西の本店には2015年に行った記憶がある。あれはおもしろい夜だった。
なぜかいちるさんに誘われて。弓月ひろみちゃんも一緒だったはず。

西葛西の本店、カッコよかった。店主、卍の形に髪を刈り込んでてすごい。店主と若いにいさんのリズム感がある仕事、呼吸が素晴らしくて。厨房も美意識、世界観感じるものでインテリアを越えて厨房にまでそういうものがあるのが圧巻。いやよかったよなあ。
ここ、秋葉原店にもそういうこだわりが息づいている。券売機で押したボタンは、

「スパイス・パクチーラー麺」

だ。これがいい。これ、好きなのだ。

店の厨房がまずかっこいい。ランチタイムをとっくに回った15時すぎ。並ばずさらりと入れて腰を下ろしたカウンターの位置が良かった。

厨房を縦にまっすぐ見渡せる誕生日席的なポジション。コンロが磨き上げてあり鈍く光る。ステンレスが眩しい厨房で、そのテーブルトップに置かれたまな板の上にはおいしそうなチャーシューの塊。女性店員が慣れた手つきでさらり、さらりと包丁を入れて削いでいく。奥の炒め場ではもやしががっがっと炒められているのが見える。自分の一杯が出来上がっていく光景を全て見られるのはスリリングだ。

調理行程できちんと目の前で炒められた熱々のもやし、えっそんなに振るか?とハッとする粗挽きスパイスたち。もやしに寄りかからせてするりと乗せられるチャーシュー。それらが見えないくらいたっぷり乗せられるパクチー。さあ、完成。丼がわたしのほうにやってくる。

ひと口、まずスープをすすれば「うむむ、、」とうなるこのおもしろさ。
うっかりと小さく「うまい」と声に出てしまう。

どんぶりの中から浴びせかけられるようなスパイス感。おもしろい。
以前食べた時も思ったのだが、ラーメンでもアジアの汁麺でもないのだな、という感想。でもやっぱりラーメンなのだ。
おいしくて、おもしろくて、どんどん箸が進んでしまう。

まず麺がうまい。ちょいかための香りの良い、少しうねる感じの黄色い麺。
スープがどうにも面白くて。土台はどうやら魚の類の出汁のようなのだが、方向を決める決め味が何度すすっても面白い。既存のラーメンスープでは全くないのだけれど、でもどこかにちゃんとラーメンであるという主張が見え隠れする。
スパイス方面から想像すると、どうにもこういう汁麺はアジア広しといえども似たものが思いつかない。なんだろう、なんだろう、と考えながら箸が止まらず、パクチーまみれ、スパイスまみれの最中にチャーシューを口に放り込むと、あっそうだ。これはラーメンだ、と正気に戻る。
まったく頭と舌を使わされる。
とても楽しい。

相変わらずラーメンは不案内なわたしだが、スパイスラー面というのは面白いものだ。他をあまり知らないのだが、これだけの完成度というのはちょっとすごい。
カレーばかりの貴兄も試してみる価値がある。