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新宿に行くと、特に南口とかにいると思い出しては「いかなくちゃなあ」と思うお店があります。これがカレーじゃないんだな（笑）牛丼やさん。
いまはもう淘汰の波も収まり残念ながら大手3社の寡占となってしまった牛丼業界。
以前は牛丼店にはローカルチェーンがいくつか存在していました。「牛友」や「牛丼太郎」なんかもその存在感はいまはもうなくて、
「たつ屋」
もここを残すのみとなってしまいました。「牛丼太郎」の有志がお店と味を受け継いだ「丼太郎」もありますが、いろいろちょっと心配でもあります。
ずいぶん昔のことですが、わたしは東銀座、歌舞伎座の裏にある焼き鳥店で焼き鳥を焼いていた時期がありました。10年くらい焼き鳥屋の雇われ大将をやっていたんですよ。
で、その店の向かい側、木挽丁病院の並びに「たつ屋」があってね、賄いに飽きると食べにいっていたものです。
そんなことを思いながら新宿南口の高架脇の「たつ屋」で、
「カツ丼、定食で」
と注文をします。
各どんぶりには定食というセットがつけられるんですよ。味噌汁と漬物がついてくるのです。
なかなかに好ましい、悪い意味ではない雑なカツ丼が出てきます。
おかしな風に凝りすぎていないのがチャームポイントなのです。好ましいなあ、この感じ。カツ丼を頬張りながら「こういうのでいいのだ」という感が強く湧き上がります。いや、実際に旨いんだよ。
お味噌汁もしっかりしたいいもので嬉しくなります。お味噌汁、大事。お漬物もいい。
定食のセットを選ぶと満足感が大きくなります。
この店が好きなところはそれだけではないんです。ちゃんとお店に、血が通っている空気があるからなのです。
お店の店員さんたちは威勢もよく心ある対応で注文をさばいてゆきます。こういうのが心地良い。
昔と違い老練な店員さんは少なくなったようですが、外国人の店員さんもこの店の空気に馴染みながら新しい時代の「たつ屋」を作っています。
うん、こういうのでいいのだよ。
