いただきものの、レトルトカレー。たくさんストックがあります。メーカー様からお送りいただくもの。案件で余分にいただいたもの、おみやげ、自分で研究用に買ったもの。どれもおもしろいものばかり。
カレーですよ。
むかしと違っていまは地方発のご当地レトルトカレーのレベルがとにかく上がった感があります。
むかしはこんなだったよ。おそろしいなあ。
ご当地の名物を作ろう
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簡単でみんなが好きなカレーがいいだろう
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おらが村の特産のあれを入れればいい
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できたできた
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売れないなあ
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期がかわって村長さんかわった
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もうあれやめるから廃棄して
本当にあったこわくてつらい話しなのですよ。でもこういう事例いっぱいあるんだよ。いまやったらフードロスで確実に叩かれるんじゃないかな。気をつけろよお、こういうのやってるひと。
かたや隠岐島海士町の「島じゃ常識サザエカレー」などのように、入念な都市部でのリサーチを実行して長く売るための策をきちんと意識して作られるものもあって、実際にロングセラーとなっています。もうそんなの当たり前だけど(島じゃ常識/笑)リサーチも販売計画もあって当然。プロダクトを生み出し、販売するにあたっては、当然ですあたりまえです。
そしてそういう組み立てを前提とするならレトルト食品は現在、巣ごもり需要、レトルト技術のブレイクスルーのいくつかを達成したタイミング、戦後最大のカレーブームなど、追い風の要素が多くて空前のチャンスとも考えられるんです。
さておき、この
「いわいずみ短角牛100%牛すじカレー」
可能性感じるとてもいいカレーでしたよ。大変価値があります。
甘くて深くて濃い味。
昨今のレトルトとしては少し古い感じの味の決め方と感じる向きもいるかもしれないですが、これ、ビーフカレーはこれでなければいけない。王道です。
最近の色々なちょっと変わった、振り幅も大きくなってきたレトルトカレーではない、王道をまっすぐいくザ・ビーフカレー。その土台があった上で、やっぱりきちんとお肉が美味しくて幸せになる良カレーです。
そして意外やこういう王道ビーフカレーははやりでいけば現在はスポットが当たりづらいんですけど、普通の人々が求めているのはやっぱりこのセンなのですよ。
お肉の香りがとてもいいんです。ちゃんといいお肉が使われているのがじわじわ伝わってくる味、香り。牛も豚もそうですけど、いいお肉の楽しみは脂にあります。このカレーに入っているビーフ、いわいずみ短角牛の牛すじは脂が実にいい匂いで大変美味しいです。肉はとろんとした仕上がりで、レトルトカレーでの肉でこういう素敵な仕上がりのものは多くないと感じました。
カレーソース自体は王道、正統派の洋食系、それも町の洋定食屋さんではない、もう少し高級な洋食レストランの感じがあるんです。甘じょっぱくコク深く、でスタートして気がつけば結構な辛さが舌の上に蓄積して汗をかかされています。なんとも満足感が高いねえ。
ごはんが足りない!とピンチに感じるメシ泥棒的美味しさがたまらないんです。それで追加したちょいと固茹で気味にした茹で卵にね、このカレーソースがまたよく合うのよ。茹で卵をカレーソースで、ごはんを間に交えずに積極的に食べるのもいいなあと思った次第。そんなこともしてみたくなるようなとにかく優秀なカレーでした。
レトルトカレー選びというのはなかなか難しいんだよね。パッケージだけで味をぴたりと想像して当てるなんてできっこないわけです。だからそこはちょっとおおらかに。ジャケ買いなどして当たり外れや自分の好みを徐々に掴んでいくことを楽しみにしたり、食事ではあるけれど趣味的に食べていくという考えでやっていくと楽しいのではないかしら。
それができるくらい、それくらい奥が深いと思わせる、レトルトカレーの種類ってのは果てしなく増えていて、その味も進化し続けています。
そして、いくらレビューを読んだとしても、外食だろうと内食だろうと味だけはレビューからは読み取れないですよね。それを自分の経験を通して見つけることが「楽しい行為」といえるんじゃないかなあ。そんなことを思っています。