少し前に気になっていたカレーライスのお店がありました。本当は居酒屋さん。でこはんという名前でおでんと煮込みとご飯ででこはん。ランチのカレーが名物で、本八幡の駅裏なんですが、訪ねて行ってみると店はもう既になくなっていました。
カレーですよ。
いつ、どんな理由でなくなったかはわからないんですが、お店がなくなるというのはやっぱりどこか胸が痛むんです。
とはいえ代替えの店を探さなければね。お腹空いてるから。
すぐ側にちょっと面白そうな店があったのを見かけました。どうもネパール料理とスリランカ料理を同時に提供しているみたい。これはとても珍しいですね。
気になるその店、
「エレファントハウス」
に入ってみることにしました。
さらっとしたシックな店内。ホールのネパール人男性担当、ダカトピをかぶり、にこやかで日本語流暢で言うことがないですね。スマートなかたです。
注文はホリデーランチの、
「エレファントプレート」(スリランカ)
にしました。
カレーが1種類選べてサラダや副菜、ピクルスなどがついてくるセットです。
これがどうにもたいしたものだったのです。どれも洗練された味でね。民族風べったりになっていなくて、本国のモダンな今風のショッピングモールなんかで出てきそうな感じの料理。センスってもんがあります。
カレーはエビカレーにしました。ココナツマイルドな感じで玉ねぎ刻みの食感が残る辛くしないカレーです。
アジアンビスクとも呼べそうなふくよか風味で上出来です。
野菜のマスタードオイルピクルスと説明されたピックル、これ異常に美味いんだよ。これは驚いたなあ。クローブ強く甘酸っぱく、ちょっと途中で止めることができないおいしさ。これは大変だ。土産に持ち帰りたいくらいです。これ一品でお酒飲めるなあ。
豆の冷製サラダ的なこれもすごくよかったです。レンティルと同じサイズにダイスカッとした野菜が入っていて食感を揃えてくるんですよ。芸が細かい仕立てだなあ。味もシンプルでビネガー&スパイスという感じを穏やかめに。これは大変いいよ。万能付け合わせといえます。もっとほしい。
ちゃんとサンボルも添えられているのがスリランカを名乗る矜持でしょうか。これもちゃんとしてます。マイルドなエビカレーにぐいっと個性を与えてくれるよいふりかけです。
サラダのドレッシングもとてもこのみ。いわゆる笹塚、幡ヶ谷系とわたしが総称するあれの流れの味です。これもう実に美味しくてよいもので、別でサラダを注文して猛然と食べたくなるような魅力のあるドレッシングでした。
料理はどれもモダンでクリーンなイメージ。なんか手放しでみんな褒めちゃいましたがこれはなかなかバランスの良いものです。
民族風に走らず、かといってあまりにも根っこのない無国籍なものでは全くなく、上手な着地点を作ったものだなあ、と感心させられました。現代のアジアエスニック料理はこういうものかもしれないなあ。
値段帯も多分相場より少し高いんですよ。そしてそれを高くないと感じます。
きちんと美味しいものをきちんと提供して相場の値段帯でやっている店はどこかいびつになるものです。色々なところに無理が出る。ここにはそういうよくない空気がなくて、それこそが美点だと考えられます。暴論ではなく、値段を少し高くするということは質の悪い客の排除にもつながるんですよ。ここがそれを考えてやってるかどうかはわからないですが、そういうやり方は価値がある取り組みだと思っています。
値段、質、モダンなスタイル。こういう形でバランスさせて、アジアの料理をより浸透させていくと面白いかもしれないなあ。不当に安いアジア周辺国料理のイメージをひっくりかえすやり方。
日本のアジアのレストランの未来が見える気がしました。