感想を、ずばり。
ひとこと、いい本にまとまったなあ、ということ。
とにかくよかったな、と思ったのがTRANSITという雑誌がスパイスという括りで一冊作ってくれたことでした。この特集は食からのアプローチだけではないところに大事な部分を持っています。
巻頭、敬愛する在本彌生さんのフォトエッセイがとてもうれしい。懐かしき印度百景旅に出演して下さった写真家さん。旅、旅が大事なのです。旅の写真がないとはじまらない。古川節子さんがチェンマイを現地から語るフォトエッセイも価値があります。そしてサラーム海上さんを起用。うーん、いい。中東の食を書いてくださっています。
世界のスパイスというのなら、世界のスパイスなのであって、南アジアと東南アジアだけのものではなく、南米だけでもないわけです。ちゃんと世界をカバーしてますね。もちろんアジアに寄るのはこれは今なら当然。とにかく地域と旅が土台になっているのがいいのです。
医療、信仰とセットで書いたページ、大航海時代のこととスパイスを求めて攻め入ったヨーロッパ各国のことなどにも触れています。それを源流とした現代まで続く搾取と経済まで書いてあってなかなかこれが大したもの。
友人たちも多数執筆しているのですが、たけなかくんが書いているお店の系譜はよかったなあ。ああいうのあるととてもわかりやすくて助かります。わたしなどには書けない若々しい表現が端々に出るのも悪くないよね。惜しむらくは、ページの都合もあろうとは思いますが老舗店の系譜も書いてもらいたかったこと。それがないと完結しないわけです。が、そこは彼というよりも編集さんとの落とし所の話であろうとわかります。大阪も然り、ね。
沖縄、無理してでも行けばよかったなあ。でも伊藤さん、またやるんでしょ?
それと伊良コーラの代表にお話聞かねばならぬ宿題を思い出しました。
得るものが多いな、そんな感想を持ちました。