ちょっと訳あって宇都宮まで足を伸ばすこととになったんです。目的はもちろん、
カレーですよ。
ちょっと考古学的興味で行きたいお店がありました。
宇都宮でそんなものいいとくれば、行く店はもうお気づきでしょう。
「ミニボルツ」
は、オリジナルボルツの名前の上にミニを冠する店名ですが、間違いなくボルツの血脈の味がするカレーを40年以上出し続けてくれています。
いまやボルツの名で営業しているのは竹橋の店のみ。それとここ、宇都宮の「ミニボルツ」。実はこの味はボルツの流れにあるな、という店を都内に1軒知っているんですよね。名前はボルツとはまったく違う和風の名前のお店なんですが、そこ此処に片鱗が見えて面白いんですよ。若いサラリーマン時代にずいぶん通ったお店です。
考古学的なはなしはまずは置いておいて、「ミニボルツ」は来るたびに心からほっとする佇まいです。隣が駐車場になって久しいですが、ここだけは変わってほしくないと願っています。
今ではなかなかみられない平家の独立店舗でヨーロッパ風とでもいうのかしら、西洋風の可愛らしい建物でどうにも心惹かれてしまうんです。店内、天井に一本いい感じの梁が入ります。照明のシェードや窓の意匠など雰囲気が良く、腰が落ち着きます。さてと、
「ポークと野菜カレー」
を注文。
辛さ3倍の指定、追加でトマトスープ、サラダ、ドリンクのセットもつけてもらうことにしました。
まずやってきたトマトスープ。これがね、すごく美味しい。すこく、です。
クリームでトマトの酸味を包んでマイルドに仕上げてあってね、舌にはさらりとしているのに舌の奥の方、味蕾が「これは濃厚、味の厚みあり」と判断をしてきます。強く、ごはんにかけたくなるよ(かけた)。そしてごはんと一緒だと異常にうまいんだよ。少しボルシチ的でもあるなあ、と気づきます。ああ、たまらない。
サラダ、パセリがのっているのがクラシックでうれしくなりますね。このお店の雰囲気にぴったりだと感じます。パセリ、おいしいんだよね。ハーブを使う人が多くなったいまだからこそ復権してほしい香りと味。パセリ、忘れるべからずなのです。
ドレッシングも良いもので、なんとなく控えめな盛りも愛らしく感じます。
ポークと野菜カレー 3倍
ボルツのカレーはなんというか、ボルツだけの味だなあといつも食べるたびに思います。塩のエッヂが効いたドライな味わいの中に乳脂肪系のマイルドさも含まれてます。甘い方向に振らない欧風カレーと考えられるでしょう。
そこに辛さ調整です。
辛さは3倍にしてみた訳ですが、辛さ調整反対派のわたしなんですよ、実は。でもね、ボルツだけは別格。なにしろ辛さ調整の元祖、そこらへん、大いに尊敬しています。
違和感なくバランスをとっての辛さ調整ですからむしろ好感をもてます。ただチリパウダーを入れてコナっぽくなるものとは訳が違うのです。
3倍は中辛程度の感。バランス良く、もう少し辛くしたいな、というあたりを狙ってみました。我ながら良いバランスだなあ。
今日は辛さを楽しむのではなくオリジナルボルツのカレーソースの良い部分を見にきた故、です。
そしてゴージャスな付け合わせセット。これだよこれ。これが醍醐味なんです。
こんな多くの種類の付け合わせが美しいガラスの器でやってくるんです。うずうずしますよ。
ニンジンのピクルス
タマネギのピクルス
タマネギスライス
レーズン
ローストココナッツフレーク
グリーンチリの酢漬け
どれもなかなかに印象的なんですよ。チリの酢漬けは思うより口が辛くないです。が、後からじわじわやってくるのがうれしい。とはいえ範囲内で美味しく合わせられるから安心です。
タマネギのピクルスの食感の良さは特筆だなあこれ。
レーズンは辛さ調整を誤った時のヘルプに有用。それぞれ役割があるねえ。楽しいねえ。
最近あらためてボルツが気になっているんですよ。
もっとスポットライトが当たって欲しいお店です。長く続く、日本のカレーの世界において大切なお店の一つです。