横浜方面に向かう途中で昼どきがやってきました。まだ道中先がありますが食事を済ませてしまおう。そうしよう。たまたまいたのは蒲田だったんです。
カレーですよ。
蒲田かあ。蒲田近隣、どこかおいしいカレーはと思案してみると、ああ、そうだった。まだ行っていないあのお店がありました。確か北海道の、えー、店名なんといったけかな。
北海道、、あ!そうだ、なまら、だよ。
「ナマラマサラ」
だよね。
わたし、わりと勉強熱心ではないんです。でも、だからこそ生れる感覚というものもあると思っています。それを信じたり疑ったりしながら生きているわけです。
なんのことを言っているのかというと、ちっとも予習をせずに行き当たりばったりでカレー店に行く行為をいまだ続けているという話し。休みもあれば閉店もある。いいんです。それも含めて体験ですから。
それで、このお店はもう有名であろうしみんな知っているはずだしいまさらわたしが紹介しなくても、ではあります。
が、改めてこのお店はいい、やっぱりいい、誰かに教えたい、いい雰囲気、そういうことを書きたくなったんです。
ホールはテーブル席が3つほどだったかな。それ以外はわりと広くとった小上がりになっています。畳敷の座敷に上がり、丸い小さなちゃぶ台を囲むというもので、気分がいい。これはいいんじゃないかなあ。落ち着くし、ちょっと和風の甘味処的な雰囲気があるんです。それがとても心地よい。
さて、カレーだよ。メニューを見て割と迷わずに、
「マサラスペシャル」
に決めました。
カレーを3種、組み合わせたもので看板メニューのよう。ごはんの量と辛さが選べるようになっていました。
ひとことで言うと感激、です。まず、どの料理もきちんとした調理がなされた味があると感じます。和食の調理の影がちらちらと見え隠れするのも楽しいなあ。技法ではなく味の落とし所、決め方がひどくすとんと胸に落ちるのはそう言うところからかしら。大変良かったんですよ。
鶏と玉ねぎの無水カリー
コンビーフ的にほぐれたお肉は柔らかく舌を刺激してくる旨味、味わいです。なんというのだろうね、たとえばこういう感じは白楽にもありますけど、あれとはまた違うタマネギの力みたいなものをお肉とは別のレイヤーから感じさせてきます。なおかつそれが出過ぎないのがいい。バランス、すごいです。さすがの北海道こだわりで玉ねぎは北見産でした。お店のホームページを後で見たんですが「無水パキスタンカリー」と呼んでいるのが、白楽の影響はいろいろなところに波及しているなあ、ということ。いや、ちがう、白楽じゃない!北海道ではないか。札幌藤野ではないか。なまらそっちだな。
国産豚なんこつと根菜のカリー
これはなんだと思ったドスンと存在感を発する大きなものは、大根でした。これがまた醤油や出汁で上手に上品に下味をつけてあってね。大変良いんです。カレーが邪魔しないしカレーを邪魔しないという和風にもっていったバランス感覚に驚かされます。鰹節と大葉、効果的だなあ。大ぶりに切ったごぼうも食感、香り共に変化を作り出し良いアクセントに。豚なんこつ、ぶるぶるな感じで仕上がっており実においしい。いい、いいねえ、これ。
サーモンとイクラのカリー
実はイクラをカレーに使うこと、否定的だったんですよね。でもこれ食べるとそんなことはどうでもいいのがわかっちゃう。良いのです、すごく。使い方がうまくてね。
まずシャケがすごい、すごくて震える。食感、ふわふわで泡のような舌触りなんですよ。これものすごい仕上がりだよ。まさになまら!!であるといえます。いやまいった。そしてイクラは揚げ出し豆腐をあいだに介してカレーとのコネクト、コンビネーションを組むと目から鱗の仲良し感。じょうずだなあ。いやあ、目眩く快感ってこれだわ。なんでも石狩鍋から発想を得たのだそう。そこもおもしろいなあ。
あとね、これすごかった。いわゆるアチャール的なものなわけですが、ただごとではない。辛さ調整という名目なんですが、気をつけないと白ごはん頼んで(頼めるかどうか不明)これだけで食べたい(やっちゃダメ)。これすごい。鰹節なんですね、これ。鰹節と玉ねぎミジン?なんかとにかくすごい破壊力。この瓶持って猛ダッシュで逃げたいぐらい。
ご店主でありましょうか。あたりの柔らかい丁寧な雰囲気の男性が気遣いをくれたりします。わたしがおいしくて嬉しくなっているのを拾ってくれました。まあ、ニヤニヤしながら食べてましたからね(笑)にこやかで感じがよいかたで、嬉しくなります。
こういうところからご縁が始まって、取材に伺いたいなあ、など考えるようになるんだよね。
いつもそうだな。そのうちいつもの取材チームでお邪魔しないとね。