石岡タローに会いにきたのです。常磐線石岡駅の西口にある。忠犬タローの像のこと。やっと会えたねえ。
カレーですよ。
「石岡タロー」はもうすぐ完成する映画のタイトルです。ハチ公に少し似たお話しで、おりこうなワンちゃんの愛あるストーリー。 ご縁あってわたしのラジオ番組に石坂アツシ監督に来ていただいてお話を伺ったこともあるんですよ。
映画「石岡タロー」公式サイト
それで、タローの像があると聞いていたので何かの折に会いにきたいなあと思っていました。会えました。やーかわいい。映画の中のタローはもっとかわいいんだよな。
クルマを停めた駅の駐車場、向かい側にちょっと面白い名前のお店を見つけました。
「ヨット食堂」
なぜヨット?それもあったんですが、佇まいがなかなか良い。これは入るべきだと直感します。
迷わない。いや、迷いようもないのです。少なくとも石岡駅西口を降りて見渡すと「ヨット食堂」の明かり以外飲食店は見当たらないのですよ。あとは駅の中でありましょうか。よし、お夕食にしようか。
どうやら地方都市の常で。まず町があり、あとから線路を引くわけですが、そうなると駅は町外れ、という流れは多く見受けられます。その典型を感じるんだよね。大きな地方都市でも城があると城下町が発達しておりその城下町の真ん中に線路を通すことはできずに駅前と繁華街が離れることは多いんです。
さて、正解かどうかもわからない御託をぬかしていないでお店に入りましょう。ちょっと冷えてきたよ。
「ヨット食堂」はなかなかに雰囲気があるお店です。
長く続けているお店独特の、ごちゃつくのだけどそれが心地いいあの感じが空気にあります。自分の中ではもう間違いなくいい予感しかしないわけです。
さて、メニューからカレーでも探してみるかとメニューを見ますが、残念。定食もの、丼もの、麺類、共にカレーの文字はなし。うんうん、構わないよ。無理してカレーは最近やめてます。好きなもの食べよう。好きなもの。好きなものは、、、カレーか(笑)なんて言いつつ何か好みの定食でも、ときょろきょろすると「大阪ヘルメス焼きそば」なんてメニューもあります。
お、それ知ってるぞ、ヘルメス。ちがう、あの濃いオレンジ色のアレではなくて。大阪住吉のメーカーが作る流通量の少ないソースのこと。敬愛する焼きそば研究家の塩崎省吾さんのブログで見た記憶がありました。ほかにも「富士の宮焼きそば」「上海焼きそば」「ホルモン味噌焼きそば」と魅力的なラインアップでね、焼きそばなんかいいチョイスだなあ、と考えつつメインメニューではない短冊を眺めると。ありゃ、あった。
「伽喱烩飯」
カレーだよ。カレーですよ。カレー、あったよ。「カーリーホイハン」と赤でルビが振ってあります。説明には「野菜山盛りカレー中華丼」とありました。よしよし、これだ。これにしよう。
ホイハンってのはなんだろうなあ。あまり聞かないなあなど考えながら待っていると、料理がやってきました。ご店主一人でやってらっしゃる様子でカウンターから受け取る感じ。配膳はセルフです。これもいい感じだねえ。
さて伽喱烩飯。これ、かなりのものだったんです。
中華あんかけご飯をカレーで仕立てたニクイやつ。ちょいあまの中華餡にカレー粉丸出しの味付けでこれがたまらないんだよ。甘さの元は豆板醤でありましょうか。野菜が本当にたくさん入ってます。こんな野菜高騰の折申し訳なくなる量です。心してありがたくいただきましょう。なんといいましょうか、クセになるお味。あんかけは実はそれほど好まないのですが、これはいい、いいなあ。そして味が濃い、いいなあ。
それと、スープがすごいうまい。なんだこれは!そう思いました。中華定食屋のあれかと思いきや、スープの色が少しよどんだ感じで濃い色です。海出汁ではなく山出汁系の感じがあるなあ。チャーハンとかに追っ付けでつくあれを3倍濃くした感じなのだ。あっ、そうだ!よし、とこのスープを伽喱烩飯に少しかけて溶いてやります。
うわ、濃いめのスープカレーになったよ。おもしろい、しょっぱい、クセになる。コレはいいなあ。色々とたまらない要素が多いんです。
ひとり伽喱烩飯を楽しみ切っていたんですが、気がつくとたちまち満席でありました。あ、そうか、電車の時間と連動か。これはいけない。席を譲らねばね。
クルマに戻ろうと外に出るとカウンターの隣の女性が追いかけてきてくれました。おっとっと、上着を忘れたのを教えてくれたのです。
こんな小さな出来事も含めて愛おしいなあ。またこよう。