これは完全に一目惚れ。いやあ、まいった。これを考えて製品にした人の頭の中をのぞいてみたい。そんなことを思わせるプロダクトです。それはつまり、プロダクトデザイナーの思う壺、ということですな。どこから始まってこのプロダクトに至ったのだろう。まったくおもしろいなあ。
甲府でアウトドアショップ「エルク」に立ち寄りました。
「エルク」は本当にお気に入りの店で、改めて実店舗の良さ、モノを自分の目で見て触って確かめてから買うという楽しさを再認識させてくれます。
セレクトもよくてね、わたしが現物が見たいと思っていた製品がかなりの確率で扱われているんです。ツボにハマるというやつだね。コールマンとかキャプテンスタッグとかそういうモノじゃない、ガレージブランドに近いものや少量生産の小さなメーカーのものまで網羅されていて、わくわくするんです。ああ、買いていたまたすぐに行きたくなってくる。
ぐるぐると店内を回ってちょっと素通りできないいくつかのアイテムをカゴに押し込んでいる最中にこれに出会いました。「COVAN」 という知らなかったブランドだ。
「RICE BALL CONTAINER」
おにぎり入れ。
うーん、なんてうれしいんだろう、おにぎり入れ。もう一度口に出して言いたくなるなあ。
製品としてこういうものがないわけではないのです。それこそ100円ショップでもプラスチックでぺらぺらしたもの手に入れることができます。
そういうアイテムなんだけど、そういうものの考え方や作りを真っ向から否定。本気でのしかかって取り組んですごいものを作ってやれという情熱だったり、ちょっとした狂気だったりが見え隠れしているのです。
そういうところにぐいっと引っ張られるものを感じてしまうんだよ。
そういうプロダクトだね、これは。
モノとしてはポリの本体にステンのカバーというか、フタ。そのフタはハンドルを展開して小さなシエラカップとして使うことができるんです。こういうトランスフォームとかに弱いねえ。
いいよねえ。直火、可です。
付属のストラップで蓋が開かないように結束できて、そのストラップのホールに折り畳みのスプーンがセットされています。これがまたいいのよ。柄が天然木を使っていて雰囲気ってのがあります。カラビナが通るホールが本体についていて、D環などでバッグなどからスリングできるようになっています。うん、おにぎりをいっこぶら下げて旅に出るってのがロマンだよな。
なによりも、おにぎりの普遍的な形、三角形そのままを愚直に表現したシルエットにはグッときます。おにぎりが入っているのだ、ということを強く意識させてくるわけです。なんだかもう、そういうのたまらないわ。
そもそもなぜおにぎりを一個だけ収納しようと思ったのだろう。洒落かもしれないし、削ぎ落とし尽くした末の決定かもしれないと想像します。そういう想像力を掻き立ててくれるのがおもしろいんです。
おにぎり一個とフタ部分のシエラカップで沸かしたお湯でインスタント味噌汁。これ、究極の食事ではないかしら。そういう想像をさせることができる時点で、完全に勝ちだよね。
漬物を入れられる小さな小さなケースがストラップにつけられると完璧だなあ。自分で工夫しよっかな。