神田小川町にある南インド料理のレストラン。あそこをを知る人は幸せである。そう思います。その活気にあてられてこちらまで元気になってくる気分があるから。
カレーですよ。
食堂のような賑わい活気があるのですが、インドのウェイター陣は白シャツにベスト、タイとホテルレストランのサービスマンのような出立ちでシックにキメています。シェフは純白のコックコートにカレーのハネを飛ばしながら厨房をひとりで回して奮戦中。
素直にみなさん、カッコいい。うーん、カッコいいぞ。
「スパイスボックス」
は、オーナーシェフである斗内さんが実にカッコいいんです。
はじめはね、実はちょっとこわかったんです。厳しい表情で、まるで怒っているように全速力でカラダをぐるぐると回しながら新しいオーダーをこなして行くその姿。迫力がありました。
実は快活で良い男なんですよ。当たり前ですが、調理中は真剣。そりゃあそういう表情にもなるってもんです、当たり前。ヘラヘラしているやつの100倍、信頼ができます。
コンパクトな居心地いい店内はなかなかに洒落ていて、神田界隈で腹が減った時に思い出せるように、と頭にメモを刻みたくなるお店です。思い余って取材を申し込んでしまったよ。連載の記事が載った雑誌が9/26に発売になりました。
「ケララチキンロースト」素晴らしかったなあ!
マリネで使うトマトからやってくるフレッシュな酸味が実にいいのです。チキンの食感が知っているものとは明らかに違うのがね、面白い。解け方が違うんですよ。よくあるやつは筋にそってするりとくずれるでしょ。あれではなく、さりとて煮崩すでなく。なんだこれは、食べないと説明できない食感だなあ。
「チキンビリヤニ」もちょっと気の遠くなる美味しさでした!
うつわをアルミホイルで密封してオーブンで炊き上げてあるんですが、開いた時の香りに感激。ナッツやレーズンからくるほんのりの甘味、フレッシュハーブの香り高さで目眩く味の変化がやってきます。ああ、これはもうなんだかたまらんなあ。「お得な2種のカレーセット」はカレーを実に5種から選べます。日々5種の仕込み、大変だよ。どれも非常に旨いんです。どれ選んでも幸せになれます。
なによりも インド、ケーララ州の有名高級ホテル「カジノホテル」のホテルレストランでの研鑽という経歴からオーセンティックなサウスインディアディッシュかと想像していたんですが、そんなに簡単には許してくれなかったよ。ケーララミールに半熟玉子、ミモザ、タルタルソースなどを組み合わせてくるわけですよ。サイコーだよこういうの。
日本人的センスであり、モダンでもあると感じます。こういうの、脱帽もの。
ちゃんと商圏特性を考え、誰に向けてどういう発信(料理のね)をするのかが明確です。熱量高い料理人である斗内シェフですが、いつでもきちんとビジネスであることを念頭に置いているのが、本当に大変素晴らしいと感じます。そういうものがあってこそ、レストランが長続きしてくれて、お客がずっと長い間好きになったその味を楽しめるということ。こんなに尊いことはなかなかないよ。
界隈では「神田カレーグランプリ2022」のスタンプラリーが始まり、ついに今回、小川町会場での開催も復活なんです。うれしいねえ。
斗内シェフは第8回開催時にグランプリ3位とマイスター賞を同時獲得の偉業を果たしています。今回第10回、さて、どんな切れ味を見せてくれるかしら。既に予選進出を終えて本戦へ出店が決まっています。さすがです。
正直にいいますけど、わたしは今回の「神田カレーグランプリ2022」では、「スパイスボックス」推しています。何か必ず結果を残してくれると信じています。
斗内さん、頑張れ!!