【熱海ワーケーションメモ】トゥクトゥクで熱海ドライブ。

ああ、おもしろかった!!

 

熱海で借りたレンタカーがただのレンタカーではなかったのであります。トゥクトゥク。あのタイ・バンコクあたりを疾走しているオート3輪、トゥクトゥクだよ。あれがレンタルされているんだよ。そのトゥクトゥクの運転体験がすごかった。運転手はあたし。

大体においてよもやトゥクトゥクを借りられるなど思っていなかったわけですよ。ことは2ヶ月ほど前に遡ります。

乗り物がとにかく子供の頃から好きだったわたし。いまだに自分の自由になる2輪や4輪は間を開けず、切らさずにずっと手元にあったというそんな人生です。それで、いつでも乗り物に関するニュースなどは定期的に拾うんですが、ある日たまたま引っかかったニュースにトゥクトゥクやオートリキシャがレンタルできる店がオープンしたと言う話を見つけたのです。場所は熱海。おや、チャンスがあったらお店を覗きに行きたいな、そんなことをぼんやり思っていました。

それで、そこからそう間もあかないある日。お世話になっているデジタルキッチンの代表がわたしに声をかけてくれたのです。「はぴいさん、ワーケーション、興味ないですか?熱海なんですが体験プログラムがあるんですよ」行きます行きます。行きますとも!それでデジタルキッチンのビジネスチームで何かコンテンツを作ったりワーケーションでアイディアを捻り出したりしましょうということになって一路熱海に向かったんであります。

その時にビジネスチームの事前打ち合わせで「熱海にこんなサービスがあって、しかもスタートしたばかりで」と言う話をしたんだよね。わたし的には四方山話、おもしろ要素として。ところがわたしのラジオ番組の名物プロデューサーのTさんが食いついた!なんといったら良いのだろう、水曜どうでしょう的なノリで、それ行きましょうかという感じで。ええ〜!(笑)

わたし的には熱海駅にあるからついでにのぞいてみたいなあ、くらいだったことがスルスルとスケジュールの中に組み込まれてクルマを借りることになっちゃったんです。本当はインドカレー好きだからオートリキシャー(3人乗り/EVコンバート済)に乗りたいなと思っていたんですけど4人チームなので自動的にトゥクトゥク一択となりました。いや、タイカレーも超好きなので全く問題ないんです。

さて、問題は誰が運転するか。「オレ、国際免許しか持ってないっす」とベリーさん。さすがのアメリカ長かった男。で、後の二人も含めて全員がだまってわたしの顔を見るんですよ。ちょっとちょっと(笑)まあ、いいですけどね。タイカレー好きだし。

 

さて、お店。

 

「TOOK(トゥック)」

 

という名前。

10月1日にオープンしたばかりの新しいお店でカフェかと見まごうおしゃれな雰囲気。後で調べてみると、2018年から熱海にいろいろなお店を展開し始めている会社の運営。ダイビングベースや宿泊施設、カフェなどを熱海に展開する東京の会社が始めたようす。あ!、テラスカフェ「海賊の隠れ家」もやってるのか。熱海に詳しい知人がカレーが美味しいよと教えてくれたお店だ。なるほどなるほど。

 

なんでもこのレンタカー事業、きっかけはダイビングベースの送迎に導入したトゥクトゥクの人気からなのだとか。なるほどお。そういう活用多くなってますよね。

さて、トゥクトゥクを借ります。

手続きは普通のレンタカーとまったく同じ、、、なのだけどね、例の外装の傷チェック。あれがわたしの中でこの日のハイライトでした。外装チェック用紙に印刷されている車両がタイのトゥクトゥクそのままなんだよ!レンタカーの傷チェックシート、本来非常にシリアスな書類なわけですが、思わず吹き出してしまったよ。店の方に肩を震わせ笑いをおさえながら「こ、これ、作ったんですか?」と聞くとそのにいさんもニヤニヤしながら「うちだけのオーダーメイド、オリジナルです。」と笑顔を返してくれました。これはツボすぎる。面白すぎる!

 

その後にコックピットドリルとなります。

借りたのはタイの、ダイハツミゼットを祖とするあれ。4人乗りタイプです。他に7人乗りのロングタイプも用意されています。この日、ロングは店内にはなかったな。

 

エンジンは4ストローク、ミッションはオートマでバックギアあり。

アクセルは右手、ブレーキは右フットブレーキのみでハンドルのブレーキはなし。

ウインカー、ライト、ホーンは左ハンドルにあってモーターサイクルに準じます。

ハザード、室内灯(お客用か?)、ワイパースイッチはダッシュボードに並びます。

ナンバープレートの区分けでいくと側車付軽二輪扱いとなっていて、普通免許が必要となります。シートベルトの着用義務はなし。側車付軽二輪だからね。オートバイにシートベルトがないのと同じです。

ちょいと頭がこんがらがりそうなんですが「オートバイとクルマ、両方経験があるならすぐなれますよ」とお店のにいさん曰く。そんじゃあいっちょやってみるかな!

 

かなり緊張します。

乗り物自体はプリミティブな作りであり、あのにいさんが言った通りで頭も体もすぐなれるだろうというのはシートに跨ると感覚的にわかります。しかし、人を乗せるとなると話が違ってくるんだよね。

自分でもタイで経験済だし(もちろんお客さんでリアシート)あとは例えば三菱のJ3のドアなしなんかの助手席にもよく乗ってたことがあったので、とにかグリップと踏ん張る足場がないと転がり落ちるのよ。それを知っているのでそこを頭ん中に入れていおかねばいけない。そりゃ緊張します。大事な仲間を乗せるんだから。

独特の装備があるんだよ。バックミラー。サイドミラーはよくある昔のバスやトラック風味の縦長オーバル。バックミラーは天井の幌フレームに固定となっています。横長で、ちょっと湾曲させてあってワイドミラー的に使えるのんですが、映るのは客の膝下から頭まで、その奥に後ろのクルマも見えます。つまりこれは客が転がり落ちていないかを確認することもできるミラーとも言えるもの。

なるほどなあ。タイ人のドライバーがやたら客であるわたしのことをミラーでガン見するのはあれか、ジャパニの観光客が転がり落ちるかどうかを見極めてんのか。そうかあ、そうだったのかあ。

アクセルを捻るとエンジンがぶるぶると振動してやんわりしたエンジンレスポンス、ピックアップで回転が上がり走り出します。恐る恐るなので特性云々言うまでスピードも回転数も上げていないですけど、これは面白い乗り物だとすぐにわかりました。

サスペンションはかたくてはねるしハンドルも結構重たいし(オートバイと違ってフロントも扁平タイヤなのだ)しかしそんなことを忘れるくらい、笑っちゃうくらい楽しい乗り物です。シンプルであればあるほど乗り物は楽しいと思ってます。エンジンは小さい方が使い方を一生懸命考えるし、小さなワイパーでは雨が降れば安全を得るためにスピードを落とさざる得ないわけです。自分で工夫して走るということを思い出させてくれる、シンプル、プリミティブな機械でありました。うわー楽しいなあ!調子に乗って熱海城まで登ってみたり熱海の海岸を縦横無尽!みんなで楽しみましたよ。

往生したのは帰り道の転回。結構な角度の坂道で切り返しUターンをしたのですが(お客はおろしてた)なんかもう道と直角になった時点で車体がゴロンゴロンと坂道を横転して落ちていきそうなんであります。実はトゥクトゥクは上屋なんて何にも乗っかってないに等しいんです。だから重心はとても低い。とはいえトレッド(車幅)が狭いので坂道で横向き直角時、怖い、むずかしい。2〜3度横転してみないと感覚がわからんのです(やです)

 

とにかくこの日は良かった。ついていたと言えます。

借りたのが15時過ぎで、途中で雨まで降ったよ。つまり昼間、夕方、夜、雨と晴れ、坂道と海岸線と山の上。こんなにも変化に富んだドライブをわずか2時間で全て体験できたということ。すごかったなあ。途中寒くて震えたのもいい思い出です(お客たちはどうだか知らんけど/笑)

 

熱海は道が狭い町です。坂道も多い。路地も一方通行も入り組んで複雑に組み合わさっています。そしてそのことから乗り物、クルマやオートバイのアベレージスピードが低いんですよ。自転車だとちょっと実用性で無理があって。こういう土地に超小型モビリティというのは夢と可能性を感じるんです。

トヨタや日産がやっていた実証実験が終わった現在、あとに何も残らなかった感があるんだよね。なぜだったのかなあと考えました。本当に必要としている人がいる土地での実証実験ではなかったからかもしれません。山間部、過疎地域と高齢者対応、公共交通機関のカバー率が低い場所。そういう実践的な場所でニーズと問題の洗い出しをしないと結局夢で終わるんじゃないかな。それともそのまた前段階だったのかな。

そういう、一旦終わってしまったけど、免許問題や安全装備等の上乗せではない選択も含めてこれから切実に必要となるであろう超小型モビリティと坂道に強いEVの再度の実証実験に、熱海は本当にいい場所だと考えられるきっかけをくれたんですよ、タイの小さな三輪車が。

たまたまではありますが、「TOOK(トゥック)」のインドのオートリキシャーがEVコンバートされている車両を使っていたり、既存技術で非常に低い金額で、そういうものが実現してしまっているのを目の当たりにできるのが、熱海の「TOOK(トゥック)」がやっている小型3輪自動車のレンタルなのだと感じています。

これ、すごい面白い可能性があると思うんだよ。官のみなさんやメーカーの皆さんの気づきがこれに集まると面白くなると思うのです。