間借りのカレー店に辿り着いたのです。それとは知らずに辿り着き、屋号の出ている看板を探してしまったよ。のぼりには堂々、店名がありました。
カレーですよ。
千葉市原、常総村上あたりだったんですが、Googleマップを見てちょっと気になるお店発見。例によって人のレビューはほぼ読まず、写真の印象とわたしの経験値を掛け合わせて行き先を決めるわけです。だもんでこういうこともあります。
本来の看板は「鷄料理 小とり」というお店。その名の通り、外観、洒落ていてちょっと大人っぽい雰囲気です。ゴッホの暖簾、洒落てるなあ。
「中辛カレー 世界のタキガワ」
という間借りのカレー店です。
カウンターと小上がりで小上がりの方は掘り炬燵。気分の良い空間だねえ。
洒落ていていかにも夜、お酒を嗜む場所の空気感。そんな場所で、「中辛カレー 世界のタキガワ」のカレー。さてどうかしら。お願いおしたのは、
「エビフライカレー」
お!ちょいと好きなビジュアルで出てきたぞ。
盛り付けには美学が出ると考えているんですが、ちゃんと個性というものがあるねえ。
2本並ぶエビフライの上にカレーの具材である肉がころりと乗っかっています。ちゃんとアピールというものがあるね。これいいな。
さて、カレーソースをひと口含むと。
おや、甘い。うまみ甘味ももちろんあるんですが、ストレートに甘いなと思わせる甘味。しかし大阪あまからのあれともちがう、遠くにバターチキンもちらり感じるような、しかし洋食のカレーライスが土台にある良カレーライス。うんうん、いいねえ。
ぺったりさせない粘度と乳脂肪的な柔らかさある香り、フルーツ的な舌への当たりからの甘さ。おいしい。好みだわ。甘さと辛さのレイヤーが良い意味で融合せずに二段になっていて舌に乗ってくるのが面白いんです。なんか、いいな、いいぞこれ。
揚げ物も、とげとげしくなく穏やかな仕上がり。油がいいのではと感じます。
驚きだったのがね、お冷。
大ぶりの美しいグラスでカボスをたっぷり絞ってくれました。これ、このお水でお金取れる感じのバランスと仕立てだぞ。ちゃんとドリンクとして成立していると感じます。お水に完成度もないかもしれないけれど、でもそう感じちゃうものがあるんです。
グラスはもちろんこのシックな鶏料理の店のものであると考えるわけですが、カレーと店主の物腰、それにこのお店とこの美しいグラスというバランスがちゃんと出来上がっているところに妙味を感じました。や、なんかけっこうすごいと思う、それ。
むかしむかし、間借りのお店でちょいと痛い目に遭ってから(紙メディアの取材でしたがそこにも迷惑をかけちゃってね)メディアで取り上げるのを自ら止めて久しいんですが、そろそろいいかな、という気分にさせてくれました。
店主のにいさんが感じ良くてね。「世界のタキガワ」なんて屋号でちょっと身構えちゃいましたが、聞けば色々説明してくれるし人懐っこさを感じます。お店に向いている人、という感触があります。
間借りというスタイルもそろそろ熟成を迎えるのかもしれません。
これからは自分の出す料理とすでにかっちりイメージを作ってやってらっしゃる間借り先の店、その雰囲気やイメージとのマッチングを考える時代に入ったのかもしれません。
これからが面白いんだと思う。