急に思い出して、閉店少し前に駆け込んだんですよ。カレーではないんです。もつ煮込みの店だよ。
カレーなしよ。
以前「やられた!」と頬を押さえた(アッチョンブリケ)旨いもつ煮込みのお店があるんです。
山梨の塩山。時間は、、、まだやっているはず!閉店時間まで後30分というところで飛び込みました。お店の名はそのまんま、
「もつ定食の店」
と言います。いいお店なんであるよ。
店内シンプルで清潔、気分がいいんです。カウンターがあってそこは常連さんのもの。わたしはそっとテーブルにつきます。手書きの、実直さを感じてしまう品書きが張り出されています。美人の女将さんが一人で切り盛りをしているんです。
「豚もつ煮定食」
を注文します。お酒やつまみではなく食事なのでちょっと申し訳ないのですが、ささっと食べて帰るので許してもらおうね。
定食、これが実にいいんだ。
器選びもお店同様シンプルでさらりとしていていいし、それを小さめの半月膳にぎゅっとかためて出してくれる感じも好き。
豚と馬の2種が用意される煮込み、この夜は馬がなかったのですが、まったく困らない。今晩は豚もつ煮込みが食べたかったから。決めてきたからね。
豚もつ煮、味噌仕立てでしっかりしているんですが、穏やかな味付けと塩加減。クセ、くさみなく丁寧な仕上がりです。ああ、やっぱりうまいなあ。添えられたネギが切り口新しく香りよく、シャキっとしているのも美点です。
白メシ。これがまあなかなかに良い炊き上がりでね、うれしくなるんです。パリっと水分を飛ばして少し硬めで炊き上げたガス釜仕立ての白メシです。量もしっかりあって、大変おいしいのです。なにより地元米とガス釜炊きにこだわりを持っていて、しっかりこの仕上がり。頷くしかないねこりゃあ。
香のものがまたいいんです。結構な酸味で目が覚めるんですが、しかし上品。味噌汁は貝出汁だね。前回もおいしくて目を見張ったんですが、大したものだなあ。マカロニサラダもちゃんと手作り、真面目さを醸し出しています。とにかく手ぇ抜いてないなあ、とわかるんですよ。
途中で女将さんが「これ貰い物ね」とカウンターの常連さんを指差しながら天ぷらをくださいました。常連さんに「ありがたく!」とお声をかけたら手を振りかえしてくれました。春の山菜の天ぷらでした。前回は季節柄で5粒のシャインマスカットをいただいた記憶があります。
なんというか、そのお気持ちが嬉しくなるねえ。通りがかりの旅の男にも優しくしてくれる。こういうのをもてなしというんだ。そうだよね。
どうにも山梨通いが加速してしまうんだよね、こういうのがあると。
山梨の「ひと」が好きなんだよな、と思います。