カレーですよ5071(亀戸 カフェ・アチャ)なぜなんだ雑居ビルの7階の極快適空間。

ご近所なんであるよ。なにしろ自転車5分。ご近所もいいところなのに、知っていたのに行けないまんまでした。じつはそれでちょっと後ろめたくもあったんだけど。

 

 

カレーですよ。

 

 

勝手に後ろめたくなってないで、行かねばね。アジアハンターの小林さんとかも行ってるみたいだし。

わたしの最寄りは地下鉄。都営新宿線なんですが、JRの最寄りでいうと総武線の亀戸駅。その駅前、とはいっても京葉道路を渡った向こう側なんですけど(わたし的には亀戸駅より近くなるのでうれしい)。

何気ない雑居ビルにある、日本人店主の営むインド料理が食べられるカフェがあるのです。

 

「カフェ・アチャ」

 

という名前。おお、よしよしという気分です(アチャアチャはそういう意味です)

何度も行こうと思ってたんですがどうもタイミングが合わない。あるのよね、そういうのが続く時。1フロア1店の建て地の狭い雑居ビル。しかも入り口は通り沿いじゃないし。意を決して7階まで上がったこともあったんですが残念、やっていなかった。でも仕込み中でしょうか、ご店主がいて中から会釈してくださって。あわてて頭を下げてエレベーターに戻りましたが「お!こんな方がやってるんだ」とわかって少し親近感。そんなこともありました。

やっと辿り着いたその店、「カフェ・アチャ」は驚きの繁盛店。思わず小さい声で「え、なんで?」と出てしまいます。

 

ランチピークを外し、狙って入った平日の13時過ぎ。見れば席は7割埋まっています。新規客もどんどんやってきます。おおお、スゲーな。お客全員に「1階のエレベーターホールがビルの奥で3畳くらいで中華屋の勝手口になってて店員がそこに座ってタバコ吸ってるビルの7階の店にあんたなんで辿り着いた?」と聞いて回りたくなる気分なんであります。

しかし、わかる。わかるよみんな。打って変わって「カフェ・アチャ」はおだやかで快適な店なのです。7割埋まって新規客もどんどん、、と書きましたが決してざわついたりうるさかったりしてません。店内はカレー店、インドカフェという空気はなく、音楽バー、ビニール盤カフェという風情です。それもどんより系(そっちはそっちで好き/笑)ではなくモダンで明るく落ち着いた感じがあるんです。

大人が使える快適なカフェレストラン、という感じでしょうか。いやーいいお店。

メニューを眺めます。ターリでやってくるセットはカレーの種類、数を選ぶことができるようす。欲張りなわたしは3種をチョイス。

 

「レモンえび・さつまいものパプー・ラールマース」

 

としてみたよ。

料理はターリの形でやってきます。インドレストランよりもカトリのサイズが大きいのがうれしい(笑)こういうところ、自分は日本人だなあ、と思うのです。カレーソースはたっぷりがいいよねえ、とどうも思ってしまうんですよね。本当はバランスなんだけどね。

 

さて。

レモンえび、とても美味しい。おだやかまったり味で、かつ素早い後味の消え方に爽やかさがあって好感を覚えます。エビと筍という組み合わせのセンスがどこか和の味を感じさせる料理。ああ、これ楽しい、美味しい。これはいいものだなあ。とてもおいしいです。とても好み。

さつまいものパプー、これはもうスパイシーポテサラと言っても首を横に振る人は居なかろうて。そういう仕上がりです。さつまいもと豆を煮込んで粘度高く練り上げたとてもおいしいもの。練り上げた、とわざと書きました。そういう感じの仕上がりなんであるよ。あまじょっぱくてわたしたち日本人の舌を鷲掴みにされる感じがあります。これはいいぞ。

タッパーに入れて冷蔵庫にしまい、おうちごはんのお惣菜として採用したいくらいです。これも好みだなあ。いいなあ。

ラールマースはぎりっと辛い仕上がりです。あとでご店主に聞いたら「これでも辛さを少し抑えてるんです」と。うむうむ、手強いねえ。辛くて大変なのですがどうにもスプーンが止まらない。何かどこかクセになるものを持っているんですよ。まず初めに香ばしさと奥行きを強く感じるんですが、それが辛さの嵐に飲み込まれていくという体験。それが面白くて何度もスプーンを口に運びます。たちまち汗だく。限定10食に間に合ってよかったなあ。

添えられた生姜のピックルなど爽やかで、気が利いています。センス、いい。どの料理も大変美味しいのです。ずいぶんいいターリでありました。

インド料理というジャンルに日本人のもつ繊細な部分や丁寧な仕事が美しく反映されているよいもの。そう感じます。(長くなるので割愛するけどフセインシェフクラスだと/五つ星レストランクラスだと/インドだから三つ星じゃなく五つ星だが/繊細さや気遣いがものすごいレベルになるわけで、それもこれも食堂ではなくレストランスタイルだからであり。なので日本人がインドの本場/日本人がイメージするインドの町場の食堂を再現すると言うなら逆にわざと荒っぽくせねばならないとかとかとか割愛)センスというものだねえ、これは。

ここに今まで来ていなかったのは痛手だったな。もうオープンしてから数年経ってるもんね。実は結構前から知っていて気になり続けていたのです。

秋元店主とも少しお話ができて、嬉しかったです。

ビルの7階。それも大型商業施設でもなんでもない雑居ビル。なのに帰り際、14時で席の2/3がまだ埋まるのに驚きです。その理由もここで少し時間を過ごした今となっては納得なんですよ。気持ちよく、居心地良く、料理がおいしく。スタッフの女性は気遣いと笑顔が嬉しい方々で。店主は腕があって雰囲気があって。

うんうん、なるほど。これはバランスというものがあるよ。快適さのバランスだね。壁一面のレコード棚も大人っぽい雰囲気を作り出していて、ますます尻に根が生えます。

飲み物を追加しよう。

実は感音性難聴を患って以来音楽色が強い店に恐怖というか、苦手感を覚えていました。ABBAがずっとかかっていたのですが、音階は相変わらずズレるのは変わらずなんだけど、珍しくちゃんとABBAだと分かったのです。ちょっとリハビリがてらこの店に通おうかという気分になっています。