今年もサイコーだったのであるよ。今年も、といったけど、3年空いてしまったけれど、戻ってきてくれました。すごくうれしい。
カレーですよ。
「Feel EARTH」はランドネ、ピークス、フィールドライフの名前を冠するアウトドアイベント。とても価値がある、内容として同じ規模の開催があまりない最大イベントだと感じています。
憎きCovid19の蔓延を機に3年間の長きにわたっての開催中断がありました。世界の混乱の中、2021年にランドネ、ピークス、フィールドライフを抱えるエイ出版社が民事再生法の適用。事業譲渡などスリム化を図るも折悪く伝染病蔓延からの影響も小さくなく、終焉となってしまったのです。
正直、
「Feel EARTH」
が戻ってくることはないと思っていたのですが。
奇跡的なカムバックの報を受けてうれしさで眩暈がしたほど。「JEEP」という強力な助っ人をふたたび得て素晴らしき再開、リスタートを果たしたのです。関係者の皆さんの想いと労に泣けてくる思いです。ありがとう、「JEEP」。
本当に本当に嬉しいことに「アウトドアカレー王決定戦」も重要コンテンツとして生き残ってくれており、めでたくも福瀧さん(@キャンプよろず相談所/名だたるロックフェスやキャンプフェスを運営)からのお誘いの連絡が来たのでした。復活だけでも十分だったのにわたしの居場所も残っていた!なんとうれしい。
きっと河合桂馬が力を貸してくれたのだと思っています。本当に、絶対、心から。
わたしもわたしで密かに次回10回目に繋げるための仕込みをしつつ(いや、記念すべき第10回は絶対開催してもらわにゃいかんし、そのためにならなんでもするぞ)、そんな感じで腹にいちもつ背に荷物(キャンプギアだな/笑)で前日午前入り。実は前々日深夜に出てちょっとクルマが停められるいつもの場所で寝てたんだよね。それで、ふもとっぱらでは雨を考えつつテントは張らず(審査委員の仕事でバタバタになるから撤収も楽にしたいし)クルマの中に寝床を作って翌日の、
「第9回 アウトドアカレー王決定戦」
の審査に備えました。
そののちしっかりとお買い物やイベントを楽しみました。あやうくポーラーでテント買うとこだった。我慢したよ(やっぱ買えばよかったよ)。ラジオ番組の収録までやれちゃった。
いやあ、すごい快適な夜だった。少し雨が降って奇跡的に涼しかったしリアゲート開けっぱなしでちょうどいい寝心地の良さで最高でした。寝不足ゼロの快適コンディション。夜ごはんも関係者賄いもらって楽させてもらったし。そのうえH&Sチームと一緒だったのでそこの料理長が腕を振るってくれて旨いもん食べさせてもらってと、アシスタントなしでもひとりでやれました。
さて、カレー。
詳しい話しはもちろん!雑誌「フィールドライフ」で読んで欲しい。最新号が配布開始されましたよ。一つ前の記事にも書きました。
フリーペーパーなのですが、毎号毎号「これ無料なのかっ?」と不安になるしっかりした雑誌で記事や特集の内容、レベルボリュームもすごくって「こりゃ下手なアウトドアメディアは可哀想になっちゃうぞ」というくらいのすごい雑誌です。
で、そのすごい雑誌にあたしが出ておるわけです。「Feel EARTH」の特集記事。今回「Feel EARTH」関連記事が3つも掲載されていて、わたしは「アウトドアカレー王決定戦」を特集した小雀陣ニさんの連載「キャンプ料理の王様」のなかにおります。
「第9回アウトドアカレー王決定戦」でわたしは審査委員長の大役をいただき、鼻息ふがふがと荒く厳しく審査をいたしました。そのコメントを大きくフィーチャーしてもらった記事になっています。ホントにわたしのコメントだらけで嬉しいやら恐縮やらで大変です。
アウトドアショップなどで手に入ります。アマゾンの電子書籍にも最新号は近々きますので。でもやっぱり紙がいいぞ。フリーペーパーでアウトドアショップなどで手に入ります。
主な配布場所はアウトドアショップ。
ICI石井スポーツ、オッシュマンズ、スポーツオーソリティ、A&Fカントリー、モンベルショップ、ワイルドワン、コロンビア、ザ・ノース・フェース、好日山荘、ヒマラヤなど主要なアウトドア用品店で手に入ります。ぜひ手に取ってお持ち帰りを。じっくり読んでね。これはさっきの記事でも書いたけど。
各チームのカレーのメモ書きを書きました。審査の時にガリガリ書き留めたものです。
これがどういうふうに誌面に反映されているかをぜひ見比べてくださいませ。
*雀家 / 小雀陣二 中山久和 ポークビーンズカレー
作っている時点でちょっとワクワクさせられるのよ。調理のどのシーンを切り取ってもカッコいい。さすがのセッテイングとこなれ感でウムム!と唸らされます。そこにちょっとイイ男感がにじむ小雀さんが調理台の前に立つと絵になっちゃうんである。これはいかん、ちょっとズルい。ここは少し減点しないと不公平(笑)
ひき肉の挽きが荒く粒がかなり大きいのでお話を聞くと肉屋さんに指定して挽いてもらったそう。肉の旨みが楽しめそうな期待があります。野菜もひき肉のビッツの大きさとサイズ合わせをしていて食感にこだわっているのがわかって、ああプロの仕事だなあ、と。肉の火入れに焦げが少し見えるくらい深いのも興味深いです。
調理台が合理的なレイアウトでやはり良いね。さすがご自分が監修したギアだけのことがあります。あれだよ、テンマクデザイン「ワークテーブル」。元焼き鳥屋店主のわたしなんかが見るとこれ、まんま厨房機材を外に持って出られるようにしたというもので、顎が落ちる。カッコいいんです。
焚き火コンロの面積が広く、ダッジオーブンと大型のフライパンを乗せて余裕があるのもいいね。プロの現場という感が強く、安心感が強いです。そこにお題の食材、原種系のじゃがいも3種を乗せて焼くんです。あえて味付けせず、素のままを焚き火で少し焦がしているのがいい。素材の味をまずはひと口、味見してからカレーに投入すれば楽しさ倍増のはず。
中山さんが淡々と後ろで生姜のフレッシュをすりおろししていました。こういう作業と真面目な食材選びは土台の部分で味の差が出てくるはず。あとで効いてくる系。大事だぞ。
真面目な作り方、基本の作り方を外さない手堅いスタイルは大いに参考になるでしょう。
「誰でも簡単なキャンプ料理」を標榜し「炭ではなくガスでやっても結果は変わらないのです」という説明が小雀さんからありました。味は大人っぽい辛さで甘味の要素を抑えめ。香りの立ち方が素晴らしい。そしてやはり予想通り肉の粒感が楽しいものでした。うーん、これは玄人味。
*タンクとホップ / 田中啓太 金津拓哉 僕たちのサマージャム
センスが良くスマートな調理環境を構築したのが前回のチャンピオン「タンクとホップ」。それに加えて楽しんでやってらっしゃるという様子がこちらにも伝わるのがいい。ダッジオーブンが乗ったコンロのそばに「タマネギ蒸し煮中」なんていう段ボールに書いたふだをつける楽しさ、かわいさ。こういうのが「楽しくやろう!」の空気感を醸成するんだよねえ。いいねえ。
鯖缶を大量に使ったアウトドアでのおさかなカレーというチャレンジはいいですね。魚カレーはなかなかジャンルとしても狭いものだし、みなさんあまりやらないんですが缶詰なら手軽になるものね。サバ缶効果、絶大だった。日本人、魚の旨みには逆らえないのですよ。旨いのですよ。
サプライズ食材が「辛い麺」。難しいお題に当たった「タンクとホップ」チームですが、難なくこなしているのもさすが!前回のディフェンディングチャンピオンの風格があります。辛さ調整のための梅蘭風のビジュアルのかたやきそばというアイディアをその場で出すのが優秀。驚いた!
サモサ風春巻きは「じゃがりこ」使用。ポテトの湯がきなどいらないところがアウトドア料理にぴったりだと感じます。やっぱりセンスがいい。揚げ焼きで仕上げたようでアウトドアの揚げ物はなかなか億劫ですがそれを跳ね除けるスタイルには見るべきものがありました。
じゃがりこを使うマッシュポテトレシピは一部で流行ったのを記憶しています。それを引用、今回のポリ袋に入れて皮の上に絞るというやりかたは「お子さんも調理に参加できるように」というコメントで、大納得。ファミリーキャンパーさんはぜひマネして欲しいですね。
ココナッツミルクの嫌味がないのは特筆。調理のうまさもさることながらインド料理やタイ料理がずいぶん一般的になってきて、ココナッツミルクに抵抗がない人が増えているのも要因としてあるでしょう。その落とし所、チューニングのうまさが光ります。
酸っぱく仕上げたパプリカは爽やかでよかった。直火でつけた焦げ目がいい感じ、いかにもアウトドア料理という雰囲気を出すことに成功しています。枝豆、これも炭の香り強く、最高にいい仕上がり。全体のバランスがいい。レベル、高いな。
*楽器をおいて空と飯 / 四木晶 Keishi Tanaka 飲み屋の本気欧風まかないカレー
非常にシンプルなガスコンロ2台という調理環境の構成と1テーブルでの調理です。アウトドア料理として現実的、実戦的なところに好感を覚えました。みんながマネしやすい、は今回のジャッジでも大事な要素。ぱっと見、もしくは写真に撮ると地味になっちゃうかもですが、二人のつくりだす空気感で雰囲気が出ていますねえ。アウトドア初心者でもまねがしやすい!のは特筆。シンプルというのはいつでも大事だと感じます。
カレーは正しくジャパニーズカレーライススタイル。みんなが大好きを体現したような味。フィールドではこれこそ価値があるんだよ。
無水調理にこだわったようで、ダッヂオーブンの特性を生かしています。「ミュージシャンの賄いカレー」というコンセプトをベースに調理。色々なメンバーみんなが食べて美味しいというところが賄い的であり、家族や仲間をもてなすアウトドア料理と通ずるところがあるよね。そのストーリーが秀逸です。仕上げにりんごすりおろしで優しく着地させるのもいい感じ。
副菜はゴーヤを使って旬を表現。旬を反映させるのはとてもいい。キャンプ場近くの食材の地産地消などにつながる価値あるスタイルです。
ただ、このゴーヤ副菜は魚の匂いがちょいとうるさいと感じました。おしいなあ。
シークレット食材の酒粕もとろろ芋に入れてじょうずに消化しています。コンテスト参加レシピとしては少し弱かったかなあ。主菜副菜の組み合わせのバランスがもうひとつ踏み込めていない感があってね。コンセプトがいいだけに副菜、惜しかった。
*AYAKAREE / 岩本彩 野呂美帆 We are Family India Curry
パパド、チャトニ、ヨーグルトでマリネしたチキン、と調理の工程や食材を一目見てインド料理のスタイルで進めているのがわかるのが楽しい。ああ、これ!と調理中のテーブルを見て顔がニヤけてしまったよ。テーブルの上にポンと置かれたパパドを見てインド料理スタイルで行こうという意思が見えます。
標準的なファミリーキャンプ的ギア、コンロ仕様ながら「かわいくやっている」というのが全体的に伝わってきて、それが空気感を作り出します。とてもいい。
自分たちで持ち込んだタルチョ(5色のチベット仏教の祈祷旗。エベレスト登山などでベースキャンプにシェルパが積み石/仏塔を設けロープでタルチョを張った画をよく見るはず)を自分の幕に飾ったりと雰囲気を作っていて好感を覚えました。幕が可愛いのに当たったのも功を奏したよねえ。これ、かわいいもんね。ただおいしいものを、ではなくて準備や調理工程で自分たちも楽しくて、みている、待っている人も楽しいという空気を作っていました。素晴らしい。
1つのダッチオーブンの中で2つの料理、肉と炒め野菜を調理をしていたんですよ。火の強さと位置を考えながら上手にコントロールをしているのが興味深く、手練れを感じます。こういうの、アウトドア料理っぽくてポイント高いです。
チリやコリアンダーリーフなどフレッシュハーブを使っていて香りにこだわる姿勢が見えるのもいいよね。チキンはヨーグルトマリネを施してました。タンドリーチキン的アプローチです。野菜は地域野菜を使用し「子供に野菜を食べさせたい」をインドカレーで実現。これはファミリーキャンパーにうれしい姿勢、秀逸なコンセプト。いいねえ、共感できます。
同じくはじめから辛くせずにヨーグルトをかける、チャトニ(チャツネ)などで辛さ調整をするという形で大人も子供も食べられる、を実現。梅干しチャトニ(チャトニ=チャツネ)などセンスがいいんだこれが。
インド料理のお作法で、なおかつソフィスティケートも感じる調理と仕上がり。フィールドでのプレゼンテーションなのに泥臭くならずスマートで美しい。
副菜はコーンと、これはパニール(インドのカッテージチーズ)か、あわせてあるのが良いアクセントでした。
食後の爽やかさはダントツでした。
*スーパーオデンブラザーズ from 逗子 / 神戸悠太 岡村昭宏 葉山クイーンビーフのステーキおでんカレー
調理センス、アイディア、スピード、品数。何もかもが異次元の二人。ちょっとこの場所にいるのはチートというか、ずるいのであるよ。すごい人たちが来ちゃったなあ、というのが正直な感想です。なにしろお店屋さんだからね。
まず調理スピードが早い。早いったら早い。手の動き、体の動きが止まらないんです。連携力高く、これはどうみてもプロの動き(事実飲食のプロであるからして)。おでんだねをその場で、しかもアウトドアで仕込んでいる絵がカッコいいし、おでんだねの数の多さは驚かされました。そのおでんダネもいちいち驚かされるアイディアが投入されていて、普通じゃないんです。マネをするのはハードルが高いと感じるけどそれでもやってみたくなる強さ、魅力が大きくありました。
お二人のキャラクターもかなり強くていい感じ、それに引っ張られてしまうところが大いにあります。画の強さと料理途中で投入されるそのアイディアにたびたび驚かされるのもいいねえ。やおら大きめの紙の手提げ袋を用意したと思ったらその袋に揚げちくわぶを入れてでシャカシャカ始めた時には度肝を抜かれました。後で食べたらそれがデザート、チュロス味だった時の驚きといったらなかったよ。ほれぼれする。
葉山牛は、これはもうズルいとしか言えないです。だって、うますぎる。肉自体がうますぎるんだよ!とはいえ地元逗子の生産者さんと自ら交渉してその心意気と信頼関係から協力を得て予算内に収めたという、一次産業の現場の人をも動かすその交渉力は実力と言っていいし、それも含めて腕前なのです。事前の食材探しと購入は大事だねえ。
おでんカレーはヤバかったなあ。これまたうますぎ。出汁カレー的な良さを強く感じさせ、隙がないのです。カレーの煮込み中、炭火での煮込みだったんですがいきなりダッヂオーブンの下で熾火となっている炭をかきわけて中から溶岩石を火バサミでつまみだし、カレーの中に躊躇なくドボン!ジュバア〜!これまた驚かされたあ!これにより炭の香ばしい香りがついたカレーソースに仕上がるという寸法。なんとも素晴らしいアイディアです。アウトドアならでのワイルドな楽しさ極めり、です。
調理に使う水も自分で天然水を汲んできたというこだわりに驚かされます。先にも書いたんですがチュロス味ちくわは食べた瞬間に思わず笑い声が大きく出てしまったよ。作る工程も食体験も面白すぎる。すごい実力とセンスです。
お題食材のサーモントラウトは焼きそばかな、黄色い中華麺を焼き固めた上に乗せてロースト。いいつまみになりそうです。
規格外の挑戦者が現れて大いに動揺、感激させられました。もう一度言うよ、こりゃあズルい(笑)
さて、ここから優勝者が決まりました。審査委員5人と一般参加者の試食からの選考です。果たしてどのチームが優勝したのか。
ぜひ雑誌「フィールドライフ」の誌面で確かめてください。