柏という町のポテンシャル、パフォーマンスがだんだんと身に沁みてわかってきております。とにかく侮れない。ちゃんと継続して観察せねばいけない大事なカレー特区といえましょう。
カレーですよ。
そんなことをなぜ思うのか、というと「カシミール」という言葉がキーとしてあがってきます。
柏。ここは柏というには柏駅からはなれてるよなあ、、っていうか最寄駅は逆井駅。柏でも南柏でも北柏でも新柏でもないのです(けっこうある)。しかしここはまちがいなく柏。だって柏系カレー店なのであるから。いや、もちろん柏市内なんですけど。近所に住んでないと柏駅周辺が柏、というイメージになります。
とにかく色々と想定を越えてくるカレー専門店に偶然入りました。用事で我孫子へ向かう途中のことです。
まずはちょいとアクセスが大変なんであります。東武線の逆井から歩けなくはないのですが、おとなしくクルマを使うのが得策かな。お店はなんというか、ロードサイドの小さな元コンビニエンスストアという風情です。
入り口の看板に「ポークカレー・インドカリー」の「レー」と「リー」の使い分けにこだわりが見えて、いい予感を感じざるをえない。柏系の予感を感じます。
「カリ―ム(咖喱夢)」
というお店です。
店内、なかなか渋くて悪くないぞ。印象としては食堂、キャンティーンという感じです。洒落たオリエンタルな模様の衝立がある以外はインド的要素はないんです。そこもいい。
そして壁のメニューを見てもう一度確信。ここは柏系カレー店。確定です。ほらね。
メニューにはインド、カシミール、コルマと並びます。インドとインディアンが並ぶのがものすごく気になるよねえ。いっぺんに両方頼んでみたい。トマトスープカリーも断然食べてみたい。「カリー」ではない「カレー」のラインナップも充実。こちらはジャパニーズスタイルで具材と乗っかるものの変化球で食べさせるスタイルのものだね。こちらにもそそられます。そして値段がどれも良心的。少し心配になってしまうお値段です。
さて、カレー。迷わず、
「コルマカリー」
となるわけです。コルマが好きです。カシミールも面白いけど常食はしないんだよね、あたしは。
「カリ―ム(咖喱夢)」の「コルマカリー」は弱め焙煎のフルーティーなもの。そうそう、この感じが柏コルマだよそうなんだよ。後味の奥の奥にほんのりカレー粉的な香りが残るのもいい感じなのです。玉ねぎのみじん焙煎を楽しむコルマとしてのアイデンティティがしっかり残るあの血脈。いいねえ、いい。
皮をむき面取りした1/4カットのフライドポテトがはいってきます。ああ、これいいじゃないか。そうか、じゃがいもは揚げジャガイモで来るのか。チキンも安心の味と食感。これは紛ごうことなきデリーコルマの血脈の世界。孫かな、ひ孫ぐらいでしょうか。
添えられた大きめめカットのガーキンピクルスもよくあっていてよいですね。ラッキョウは甘め大きめなのでコルマに合わせる場合は味が少々持っていかれる感もあるので半かじりで口に持っていくといいかもしれません。
とにかく、満足感が大きいなあ。
食べ終わり、席で水を飲みながら考えるともなく考えます。
もうすでに柏のこういうカレーを出すお店とお客たちはデリーを知らないのではないかしら。
柏の固有カレー、土着カレーとして認識、「ボンベイ」という店を冠に抱いて「カシミールカレー」や「コルマカレー」(カリー)を受け入れているのではあるまいか。そしてそれを愛する柏の臣民たち。ね、どうだろう。そうじゃないかな。
つまりそれはボンベイキングダムであり、デリーはすでに忘却の彼方、ボンベイ王国のごく少数の司祭たちだけのみ知る伝説のエルドラードなのではないか。これが千葉県ボンベイ市のカシミール地区の実態。そうではないでしょうか。なんということだ。謎めくカレー王国、柏。もうそうんなところまで歴史を重ねているのか。
妄想浪漫だよ。いや、近い将来の柏像か。いやそれもちがう。かしわカレー図鑑の波木編集長にうかがったら「もうずーっと前からそんなですよ」と。
えええ、なんということ!!