取材で行くというのはいつも行くのとはまた違った楽しさや発見があるので連載記事、やめられません。辞めるつもりなんかないけれどね。
カレーですよ。
前にも取材に行きました、というブログ記事で書いたけど、いつもただのお客で行っているお店に取材で行くってのはくすぐったいようなきまり悪いようななんともいえない気分です。
でも取材を喜んでくださるお店や担当さんだとやっぱりやりやすいかな。
「パトワール 新宿店」
はいつでも終電もとっくになくなった時間帯にクルマでで横付けして、ハザードたいたままお弁当を買って帰ります。そういう細い客ではありますが、カーンさんとの友情は変わらずに続いています。
昔と比べて東京の深夜カレーは選択肢が少なくなったなあ、と感じています。麹町「アジャンタ」は24時間やってた頃もあったけど今は22時閉店。錦糸町の夜明けまで営業の「アジアカレーハウス」も25時までになっちゃったしね。
でもわたしには深夜番のカーンさんが待っててくれる「パトワール 新宿店」という見方がいますから、大丈夫。こんな時代でも27時までやっててくれて本当にありがたい。その灯を消さぬためにも深夜に通うんです。そしておなじくその灯を消さぬため取材にもやってくるわけです。
甲州街道沿い、文化女子大横の歩道橋のたもとに煌々と派手なあかりを灯す「パトワール 新宿店」は深夜のはらへりピープルの灯台のような場所なんですよ。
たまに思うんだけどね、パキスタンの荒野を走る派手なデコレーショントラックのカルチャーというのがあるんです。一度写真を撮りに行ってみたいってずっと思ってるんだけどね。あのテイストを感じるんだよね、店頭のデザインとかから。そんなことを思いながら異国の地に想いを馳せる深夜なのです。
さて、いつも弁当ばかりのわたしですが、取材となればね、いろいろ紹介したいわけで。
「Bディナーセット」
マトンカレーと豆カレーにタンドリーチキンもつく深夜満足セット(昼間もやってるけど)。
マトンカレー、旨いなあ。パキスタンの人はやっぱりお肉上手にに扱うよなあ。パキスタンの人、というよりカーンさんが、かな。
「トマトゴーシュト」
も最高です。
トマトとマトンのシンプルな煮込み、これに素晴らしきスパイス使いでお肉のパフォーマンスが大幅に高まるわけですよ。ああおいしい。
この夜は、サービスでささっと作ってくれたパキスタン中華だなこれ、サワースープを出してくれました。寒い夜にぴたりと来る幸せなやつです。これも旨いよお。
実は「パトワール 新宿店」、もう31年続いているそう。え、そうなんだ?!そうかあ。そりゃあたしも歳をとるってもんだなあ。しかしこの狭い厨房で30年オーバは大変なことですよ。
深夜帯によく来るわたしですが、ある時は若者が席を全部使って満員、ある時はインバウンドのヨーロッパ系の人ばかり。またあるときはムスリムの人だけでなにか県人会的和やかさの夜も。面白いんだよね、新宿という街の横顔が見えるようです。
同じグループできたわけじゃないのにお客さん同士の一体感みたいのがちょっと見えたりしてね。こりゃあパキスタンの深夜食堂だなあ、と思うわけです。
わたしの真夜中の心の拠り所は、新宿のビル街区に集う人々の心の拠り所でもあるのです。