たまにどうにも行きたくなる店があります。辛いものが食べたいから行くのではないよ。あの空気が好きだから行くのです。
カレーですよ。
改めて思うのが、ボルツのカレーの軽やかさ。大変に感心するんです。ボルツというお店は、カレーの辛さ調整の元祖として挙げられることが多いんですが、それと同時にチェーン、フランチャイズ展開をするお店として早い時期からさらさらカレーを展開していたと言う部分で独自性と先見の明があると感じています。
その根っこは南インドバンガロールにあるんだとか。へええ!初めて知ったぞ。
「カレーハウス ボルツ 神田店」
はボルツの各店の貴重な生き残り。宇都宮の「ミニボルツ」とならんで(津田沼大久保の店は惜しまれつつ閉店)日本で残るボルツの系譜を受け継ぐお店。
親会社である「日本レストランシステム(株)」は「洋麺屋五右衛門」や「卵と私」、「先斗入ル」。カレーなら「咖喱&カレーパン 天馬」「天馬咖喱」などを運営するレストラングループ。残念ながら「カレーハウス ボルツ」の事業は縮小、直営店は無くなってしまいました。そして今残る「ミニボルツ」と「カレーハウス ボルツ 神田店」はFCだkらこそ生きながらえたんです。なんというありがたいこと。
「カレーハウス ボルツ」が勢力を誇っていたのは80年代後半から90年代位でしょうか。わたしも渋谷に数店あったボルツによく通っていましたよ。当時は渋谷に行くとボルツかインデラ舟か、それともムルギーか、という感じでした。
いま思えばボルツ系とでも言えそうなあのカレーに似たカレーライスを出す個人店もいくつかあったのを覚えています。例えばその1つがこれもなくなってしまったお店、千駄ヶ谷、明治通り沿いにあった「茜」と言うお店。ビルの奥にある昔の喫茶店のような雰囲気がある古いお店で、当時の仕事場の資金だったので良く通いました。あの味と付け合わせは「カレーハウス ボルツ」の系譜を思わせるものだったなあ。
わたしはボルツでは、3倍から5倍の間で辛さを決めているんです。
エチオピアでもそうなんですが、それくらいの辛さレベルだと、カレーソースの素性の良さがよくわかるから。
必要以上には濃いめ、深めにしない寸止め感を感じるボルツのカレー、とてもいいものです。舌も、お腹も楽ができるからね。こういうのは現代においては貴重だと思うし、物足りなさといったものも感じないし。軽やかで過不足ない、ベストバランス。だからこそ毎日食べたくなる味なのではないかしら。近隣のサラリーマン諸氏が羨ましいです。
年齢もそうですが、過ごしてきた時代を振り返るとわたしがなぜボルツの味がしっくり来るのかが見えてきます。
ちゃんと影響受けているなあ。
わたしの13年続く連載「それでもカレーは飲み物である」がのっている月間男性誌「EXCITING MAX / エキサイティングマックス!」は26日発売。「カレーハウス ボルツ 神田店」の倉田店長からお話を聞きました。全国の書店、コンビニエンスストアで発売中。ぜひお手に取ってみてください。