小野さんの通夜の帰り道。こういう精神状態の時によろしくないと思いながらもまっすぐうちに帰りたくないんです。腹ん中で色々整理して少しはマシな顔をしてうちに帰りたいもんな。そんなことをぐるぐると思って都内をクルマであてなく走っていました。
カレーですよ。
そうだ、「しあわせの黄色いカレー」とまでは言わないけど、カレーライスらしいカレーライスでも食べてひとりで追悼晩餐にしてみるか。そうするか。
落合あたりからなんとなく目指すわけでもなくぶらぶらと走り、思いつき、たどり着いたのが上野毛の、
「パピー」
でした。
そういやあ、はぴいとちょっと似てるよな、あはは。そんなくだらないことをぶつくさつぶやきながら何も考えずに注文が口をつくわけです。いつも通りです。
ずいぶん通っているからね、どうも他のものが頼めなくなっちゃった。勝手に口から「5番、お願いします」と出てしまうのです。
ナンバー5は殺しの番号(胃袋殺し)。カレーとスパゲッティがそれぞれ1人前くらいのっていてそこにハンバーグも付くというシロモノ。すごいボリュームだぞ。むかしガールフレンドに「夜中にそんなもの食べちゃダメだから!」と怒られたことがあります。そうだよね、至極真っ当な意見だよ。
そしてむかしはパピー、深夜まで営業していてとても重宝してました。
いまは普通の時間帯の夜営業、親父さん達もわたしも歳をとったのです。
さみしいけど、当たり前に誰の頭上にも時間は平等に降り注ぐのです。
だから大事にカレーを食べよう。