ちょっとなにかあると幡ヶ谷にいくんです。いい意味でなにも考えなくていいからね。
カレーですよ。
ただもういつものやつを頼んで、短い時間、待って、やってきた「エッグ付きポークチキン」を無心に食べるんです。
それがわたしにとっての幡ヶ谷の
「カレーの店 スパイス」
なのです。
無心にと言ったけどね、舌は、からだは「きょうはどっち?」と聞いてくるのです。それはポークかチキンか、ということ。
どちらも好きで必ず合いがけにするのですが、その日の心持ちによってその「両方食べたい」の両方の中の偏りがあるわけです。ポークはチキンの辛さと背中合わせでセットにしてこそチキンの実力が発揮されます。しかしチキンはポークの穏やかさと鷹揚さで止まってはダメだと辛さと香りで前のめりに倒れろと言ってくるわけで。この狭間で「最後のひとくちをどちらにするか」を決めるんですよ。
これが一番大事で「最後のひとくち」が全ての満足のキーとなり柱になると思っています。ポークで穏やかに着地させて余韻を楽しむか。チキンで決めて刺激と香りの残り香を楽しむか。いつも悩むんです。悩むこと自体がわたしにとっての「スパイス」のカレーを食べる一要素になっていて、なにをおいてもこの流れは止めることはできない、というわけです。
この日の「最後のひとくち」がどちらになったかは、わたしだけの秘密。